文春文庫<br> 覗くモーテル 観察日誌

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文春文庫
覗くモーテル 観察日誌

  • ISBN:9784167914325

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内容説明

他人の性生活を、覗いてみたい――。
天井裏に自分だけの覗き部屋を作ったモーテル経営者、30年の奇妙な記録。

1980年のはじめ、著者のもとに一人の男から奇妙な手紙が届く。
男の名はジェラルド・フース。コロラド州デンヴァーでモーテルを経営しており、
複数の部屋の天井に自ら通風孔と見せかけた穴を開け、秘かに利用者たちの姿を観察して日記にまとめているという。

男を訪ねた著者が屋根裏へと案内され、光の洩れる穴から目撃したのは、全裸の魅力的なカップルがベッドでオーラルセックスにはげむ姿だった――。

ヴェトナム戦争で傷ついた兵士とその妻の行為から、不倫や同性愛、グループセックス、
さらには麻薬取り引きの絡んだ殺人事件まで、三十年に及ぶ記録からはアメリカの世相、性意識の変化が見えてくる。


解説・青山南

※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りつこ

39
覗きにとりつかれた男がモーテルを買い取り自らがオーナーとなり天井裏から覗き見した内容を克明にノートに綴る。他言しないことを条件に彼の告白を読み続けてきた著者がノンフィクションとして出版できたのはなぜなんだろう?途中からはその興味で読み進めていたのだが、うーむ…。ある意味「信頼できない語り手」だけど、本当のことだからこそ…なんだろうなというリアルさがあって、そこが面白かった。ってこの人の行為はほんとに面白がれないことなんだけど。胸糞悪くてとっとと読み切った。やでやで。2020/02/25

おさむ

31
「事実は小説よりも奇なり」。この言葉を地でいくドキュメンタリー。自分の所有するモーテルの宿泊者たちをひたすら覗き見しては生態観察を続けた男の告白を、著名ジャーナリストがまとめた。文字通りの「ピーピングトム」。最初の出会いから胡散臭いが、第三者の眼でつぶさに検証することで現実感が出ている。30年以上にもわたってこのネタを温め続けた著者の粘り強さに敬服します。しかし、主人公のジェラルド・フース氏の変態ぶりには、あの江戸川乱歩も真っ青ですな笑。スピルバーグが映画化を目指したが、ポシャったそうです。2020/02/03

カッパ

10
見えないところをみるというのはいつも興味深い。でも、盗撮は犯罪だからな。見つかったら捕まるんだよなと当たり前のことを思いながら読んだ。2022/04/12

Naoko Takemoto

10
恥ずかしながら一気読み。多くを語ると誤解されそうで怖いが、隣人の行動や裏の顔が気になる時はある。フースなる覗き趣味のある男がモーテル経営を始め、屋根裏から部屋を覗く。江戸川乱歩とは似つかない。徹底した記録をライターのゲイ.タリーズに託した。言い換えると犯罪の記録でもあるが、社会となんぞやと考えさせられるものがある。2020/02/29

はな

4
ゲイ•タリーズは米国のノンフィクション作家で、ニュージャーナリズムのジャンルを打ち立てた巨匠である。1980年代に覗き魔「フース」は、自分が経営するモーテルの屋根裏に覗きスペースを作り、数十年に渡る覗きの記録を作成していた。フースは、その全てをタリーズに提示する。誰にも知られず、迷惑をかけていないとはいえ、この行為は犯罪である。一方で長年に亘る観察は、性の衝動や様式だけでは無く、暴力や殺人や窃盗など、人間の本質がもまた記録されていたのだった。自分が関わる私ノンフィクションの作品としては珠玉の題材である。2022/06/16

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