内容説明
ヨーロッパはむろん隣接するイスラム圏や新大陸を含めた全世界に対して、2000年にわたり計りしれない影響をあたえつづけてきたカトリック教会。その組織的・権威的中核となったのがローマ教皇庁であり、歴代ローマ教皇である。十二使徒のなかから選ばれた初代ペトロス(ペテロ)に始まり、ローマ帝国期の教会迫害から公認へという大転換を経て、各国王室に比肩する勢力でありつづけた。本書は歴代教皇に沿って、カトリック・キリスト教全史を追うことができる一冊である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんがく
16
カトリックのトップにして、キリストの代理人である教皇の歴史を古代から現代まで辿る。似た名前が多い上に羅列的なのでやや読みづらいが、教皇が歴史の大きな動きの中でどのような位置に置かれてきたかがよくわかる。有名なシスマの時期以外にも分裂が多く、東ローマとの関係も意外と長い。ゲルマン、神聖ローマ、フランス、スペイン、イタリアなどその時々の俗権と対立と協調を繰り返しながらも現代まで制度が続いているのはすごい。2019/11/10
塩崎ツトム
15
著者が上智大卒業のイエズス会司祭なので、書かれている内容は内側からの、インサイダー史観なので、建前に則った、非信徒にはすっと入らない内容も多い。あらゆる教会の問題は外部の圧力や、「不幸なできごと」「悲劇」として、まるで雨が降りました、みたいな感じで触れられるが、カトリック内部の権威・権力が磁場のように問題を吸い寄せたり、問題を引き寄せたのではという疑問を回避する。また中世末期の教会大分裂とコンスタンツ公会議について知りたくて本書を読んだが、たった3、4ページしか紙面が割かれていなかったのも不満。2025/08/01
garth
14
カトリック教会の、つまりキリスト教の歴史はさまざまな異端との分離の歴史なのであり、いわば進化の系統樹のようにさまざまな異端が分かれあるものは途絶えあるものは栄える。俗権、王や皇帝との複雑な関係、そして最大のライバルであるコンスタンティノープル司教座とのせめぎあいが生み出すダイナミズムによって、教会の進化は続いてきたわけである。2020/01/20
Francis
14
おそらく教皇フランシスコの訪日に合わせて文庫化されたもの。私もカトリックだが、意外とこのような本は読んでいなかったのですぐ購入してすぐに読んだ。使徒ペトロから先々代ヨハネ・パウロ2世までのローマ教皇の歩みを分かりやすく述べる。ローマ教皇がローマ帝国の後継者ビザンティン帝国や自らが戴冠した西ローマ・神聖ローマ皇帝と争いながら、あるいは教会自体も分裂しながらも発展してきたことが理解できた。現代のカトリック教会は難しい問題を抱えつつこれからどのようにあるべきか、一信徒の私も良く考えなければならないと感じた。2019/11/28
さとうしん
14
ローマ帝国時代のローマ司教から現代の教皇(ヨハネス・パウルス2世以降は解説で補足)まで、歴代の教皇の事績や公会議、論争を総覧。古代・中世の司教・教皇に多く紙幅を割いている。ディオクレティアヌスの大迫害、ゲルマン諸民族やビザンティン皇帝との関係、教会大分裂、宗教改革など、その時々の危機に対してどう向かい合ってきたのか(あるいは向かい合ってこなかったのか)が読みどころ。2019/10/23
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