内容説明
餌付けをしているわけでもないのに猫が寄りつき、「猫寺」と呼ばれていた都内の木蓮寺。若き住職の真道は高校教師だった藤井に声をかけ、猫を専門に扱う霊園を開設する。愛猫を看取ったばかりの瑞季、そして真道と藤井もまた誰にも明せない悲しみと孤独を抱えていた。猫と共に生き、猫に生かされてきた男女の祈りと再生の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
156
タイトルと表紙に魅かれて読みました。野中 柊、初読です。猫版おくりびとの連作短編集、オススメは『スノーノイズ』&『星降る夜』です。星型のしっぽの骨があるにゃんて、素敵だにゃあ(=^・・^=) https://stat.ameba.jp/user_images/20180518/17/mofumofu0629/43/db/j/o0720096014193434638.jpg?caw=8002019/09/06
itica
76
猫寺と呼ばれるお寺で焼かれる猫のお骨の美しさ。猫に関わる人々、それぞれの事情。育てる命、逝く命。静かに、しかし確実に刻まれる時の中で、私もいつしか寺の境内に佇んでいる錯覚に陥る。物言わぬ猫の愛くるしさに癒される。 2019/08/20
ぶんこ
65
野中さんによる静謐な雰囲気に溢れた物語。通称猫寺と言われる木蓮寺で、猫専門の葬儀が行われています。元教師の藤井さんが猫を優しく遺骨にしてくれる様子に感動しました。我が家の猫も藤井さんにお骨にしていただきたい。そして尻尾の星を見てみたい。猫たちの飼い主と、木蓮寺の人々、ご近所の11歳の男の子が紡ぎ出している世界。小さな世界にささやかな幸せがこもっているようでした。麦君に居場所と、猫と優しい大人がいることにも感謝したい気持ちになりました。2019/12/13
あん
54
装丁とタイトルに惹かれて図書館で借りた本。これまでに猫二匹を看取ったことを思い出して泣けちゃうのかな?と思いながら読み進める。私が調子が悪いとずっと寄り添ってくれたり、持ち帰り仕事をしていると背中に飛びついてきて甘えたり、新聞を読んでいると新聞の上にドッカリ座られちゃったり、毎日色んな表情を見せて楽しませてくれたことが思い出され、読んでいてたびたび鼻の奥がつんとした。そして、猫と暮らした歳月にあった、ほんわかと温かい空気の余韻に浸れた本でした。2019/09/17
優花 🍯モグモグ
47
タイトルを見ると悲しい物語かと思っていたけれど、悲しいだけじゃなく心穏やかになれる物語でもありました。猫の尻尾には、とても素敵な秘密がある。探せばまだまだ他にも、猫の秘密が隠されているような気がします。この本を読んで、お気に入りさんがつぶやく外猫さんたちに、無性に会いたくなってしまいました。2020/01/05
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