内容説明
作家として政治家として半世紀余、常に時代の最前線を駆け抜けてきた石原氏と、文芸編集者として同時代を歩んできた坂本氏。小林秀雄や川端康成、三島由紀夫など、活気にあふれたかつての文壇での交友と逸話の数々、戦前から戦後の忘れがたい情景、時代と読者から遠ざかる現代の文学状況への危惧――五度に及ぶ対話を通して、文学と政治、死生まで縦横に語り合う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
26
慎太郎氏と名伯楽編集者と呼ばれたと言う坂本氏の対談集。オールド・ノベリストの赤裸々な行動暴露や評価は下世話的で興味ある人には堪えられないかも。私にとってはさほどのことは・・・の思い。慎太郎氏、我があの作は傑作だの連発と、坂本氏の良いしょぶりが印象的と記したら「若造が何を言う」と反撃されそう。確かにぜんぜん読んでいないので、ブックガイドとして秀逸本としておこう。取り上げた本をメモしてなかったのは失敗。時間あるときに一冊ずつチャレンジしていこう。2023/04/19
gtn
23
「石原や今東光まで政治家になって、ノーベル賞は川端さんにとられて、僕はもう生きていたくないな」との三島由紀夫のボヤキを明らかにする石原慎太郎。三島の行動原理は、案外俗っぽいものだったのかも。ともかく、全遍、歯に衣着せない年寄りの思い出話であり、亡き文士への追慕が伝わってくる。2020/10/04
hirayama46
5
石原慎太郎の自己肯定感というものに畏怖の念を持っていて、その出処を探ろうかと思い読んでみましたが、対談ということもあり、あまり深いところはわかりませんでした。まあやっぱりごくナチュラルに自慢話は出るものだな……と感心しました。アメリカの出版社からの連絡を無視し続けていたらポシャったけれど(当たり前である)、デビューしていれば自分はもっとビッグになっていた、という臆面のなさでありました。ifの話の取り扱いについて考えてしまいます。あと、海野十三について「みんな知らないよね」という謎のマウントもありました。2020/06/08
際皮
3
石原慎太郎と、「新潮」元編集長の坂本忠雄が、昔の文壇について追懐する本。二人とも人生経験が豊富なだけあって、なかなか面白いエピソードを紹介してくれる。記憶というのは、美化されるものなので、この対談の会話全てを信頼することは当然できないが、文学者同士の掛け合いがあった時代を、私に感じさせてくれた。2022/02/18
go
3
まずこのタイトル面白いね。そういう心境なんだろうな。石原慎太郎の話は結構面白いので、本作も気楽に楽しめた。川端康成は三島由紀夫が嫌いだったと思うとか、へーという感じ。石原が若干三島を下に見てるんだよね、運動神経の部分で。でも他の本で裕次郎に比べて運動神経が鈍くてコンプレックスだったって言ってたな。2020/06/16