内容説明
60年安保闘争や全共闘運動など、戦後の学生・労働者闘争に多大な影響をもたらした吉本隆明。国家論や言語論など、多岐にわたる彼の思想の原点には「戦争体験」があった。戦後思想史の巨人を読み解く、新たな視点を提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
41
吉本隆明は全貌の分からない知識人で、こういう本が出やすい知識人だ。同時代の知識人として団塊世代に大きく影響を与えていて、橋爪大三郎や鹿島茂の本があるが、同時代性を伝えられても後続世代はピンとこない。著者は遅れてきた世代であり、少し困難を共有してくれている。「『共同幻想論』は表現者としての吉本の個人幻想を、国家という共同幻想に合致させず、共同幻想を解体して生滅させる可能性を秘めた対幻想として自律させる試みでもあったのだ。」短いため評価が難しくあまり読まれていないけれども、著者の関心から率直に論じられている。2023/01/02
静かな生活
3
非常に丁寧。オウム真理教を前にしてさえフォームを崩さない吉本の頑固さというか強靭さ2022/11/26