内容説明
1枚の写真と短い文章で世界を創作する「フォトライター」の沢原。連載は人気を得ているが、自分自身の手応えが徐々に弱まってきていることに焦りを覚えていた。カメラを手にやみくもに街を彷徨い歩いた彼が出会ったのは、人の「顔」が怖くなった廃業寸前の殺し屋で――。(「鏡の顔」)
削ぎ落された文体で透明感のある街と人を描く、初期大沢ハードボイルドの金字塔。
日本冒険小説協会最優秀短編賞を受賞した、全5編の作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅー
3
★★冒頭の『鏡の顔』は別の短編集で読んで傑作だと思った。だがそれ以降の作品は正直なところ好みではない。昭和の「大人の男のお伽噺」みたいな感じがしてしまう。こういうのがカッコいい時代だったのだろうな。荒唐無稽なアクションならそれに徹してもらえばよいのだが、中途半端なリアルを売りにするところが何だかアンバランスに見えてしまうのだ。もちろん大沢親分のことだから描写も構成も見事で読んで損はない。単に今の自分の好みの問題であり、その後の新宿鮫シリーズなどでの活躍ぶりを知っているからこそ感じる物足りなさなのだと思う。2021/06/24
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0
平成5年6月10日初版発行 令和元年12月25日改版初版発行(文庫748円、Kindle版704円)2024/09/28
sorriso
0
大沢さんの作品は全て読んだと思っていたが、これは初めてかも。人の顔が怖い殺し屋の話は、なんとなくわかる気がした。黒人の殺し屋マービンのシリーズも良い味を出している。2021/02/14