内容説明
2020年大河ドラマで再び注目を集める明智光秀、嫡男・光慶の視点からみる父・光秀の栄光と懊悩。
『一家がみんなひとつ屋根の下で暮らしていけるなら、本当に幸せなことよ。でも、今、そんな暮らしができる者はいない。守りたいもののために、自らのことを大なり小なり擲っているの。』
父上は何を擲っているというのだろう。そして、己は、これから、何を擲つというのだろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポチ
60
光秀の息子の十五郎光慶。本能寺の変の後、死んだとも生き残ったともいわれ、良く分からない人物。光秀が本能寺の変を起こした理由は…。面白く読了。2020/01/12
雪月花
39
谷津矢車さんの著書は初読み。明智光秀の嫡男十五郎(光慶)と光秀の家臣であり女婿でもあった左馬助の視点から語られる本能寺の変の前後。十五郎は武芸を苦手としお茶や連歌を好み、元服したあともなかなか光秀に初陣を許されないどころか信長にも嫌われ、不甲斐ない思いで苦悩する。大河ドラマでは忠実な家臣と描かれていた左馬助が、この小説では冷ややかに光秀、十五郎父子を見ていたことが意外だったが、後半の左馬助目線の語りで、光秀の十五郎に対する親心が明らかにされる。今までにない側面から明智一族を描いた小説だった。2021/02/12
maito/まいと
27
本能寺の変を光秀の子・光慶を主軸に描いた歴史小説。未だに議論が続く事件を、史料を尊重しつつ物語でつなぎ合わせることで、無理のない流れで描かれている反面、谷津さんらしい変化球が少なくすんなりな展開。このつなぎ方が故に、こじんまりとした作品になっているのが正直な感想。ただ、登場人物の偽らざる等身大の生き様や追い込まれながら精一杯あがく姿に感情移入が止まらない。大事件だからこそ、後世の人の願望が拡げてしまった光秀のイメージを着地させた意義は大きい。『廉太郎ノオト』が好きな方はきっと共感できるトーンがありますよ。2020/03/19
よっしー
16
「光秀」という単語にひかれて、手に取りました。親子のお話だったのですね。光秀、もっと家族に対して愛情溢れる人かと思っていたので、読み始めはしっくりこなかったです。ただ、読み進めていくうちに、隠れた親心が見えて少し安心しました。ただ、それを思うと左馬助の運命が切なくもあり、運命を共にしたと思うと救われるのか…。少し他の「明智光秀」の作品も読んでみたいと思いました。2020/08/29
白いワンコ
16
「戦はやがて終わる」として育てられた後継者と終わるを良しとしなかった者。育てた者の目論みは外れたが、大きく時代を動かし、育てられた者に櫂を握らせる。大河ならぬ大湖へ漕ぎ出す結末は、滅び行く一族、最後の希望だった2020/01/20
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