21世紀の啓蒙 下:理性、科学、ヒューマニズム、進歩

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21世紀の啓蒙 下:理性、科学、ヒューマニズム、進歩

  • ISBN:9784794224224

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内容説明

わたしたちは、今、史上最良の時代を生きている――。
過去を理想化して進歩を否定、未来は衰退に向かうと主張する反啓蒙主義の
嘘・誤りを、データにより明らかにする。

世界の状況を正しく評価するにはどうしたらいいのだろうか。
答えは「数えること」である。今生きている人が何人で、
そのなかの何人が暴力の犠牲になっているのか。
何人が病気にかかり、何人が飢えていて、何人が貧困にあえぎ、
何人が抑圧されていて、何人が読み書きができず、何人が不幸なのか。
……これは実は道義的にも賢明な方法だといえる。
なぜなら、身近な人を優先するわけでも、テレビ受けする人を
特別扱いするわけでもなく、一人ひとりの価値を平等に扱う取り組みだからだ。
――本書より

ポピュリズムの隆盛により、民主主義の死はもはや決定づけられた。
世界人口の増加により、今世紀中の食糧危機の到来は間違いない。
地球温暖化も核兵器拡散も、解決の糸口はまるでつかめていない。
……というのは本当だろうか。
若い人はポピュリズムを支持しておらず、世代交代とともに衰退する可能性が高い。
世界人口が増加しても、農業の進歩により飢餓に苦しむ人の数は大きく減少している。
温暖化も核兵器も現実の脅威だが、GDPあたりの二酸化炭素排出量は減少しており、
また世界の核兵器の数は近年減少し続けている。決して解決できない問題ではない
データを用いて、無根拠な「衰退の予言」の欠陥を指摘し、
啓蒙の理念による進歩の重要さを説く。
世界をよりよいものにする意志に満ちた、世界的ベストセラー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

189
進歩への抵抗勢力の様々な試みに対して、一つ一つ丁寧に反論・反証を続けていく。鬱病の増加、犯罪の横行、成長の終焉、原題は病んでいる。根拠が曖昧だったり、それどころか証拠に反する言及がなぜ繰り返されるのか。人間の本姓の仕組みも交えて説明する。抵抗勢力は子気味良く退けられている。根拠のないデマは保守の専売特許ではなかった。リベラルもまた同罪としか言えない過ちを犯していた。2020/10/04

えちぜんや よーた

97
【第20章進歩は続くと期待できる】最近「アメリカはこれから大丈夫なんか?」と考える人も多くなっているだろう。だが幸いなことに懸念は無用だ。→「アメリカ建国の立役者たちの意図どおり、アメリカの大統領制は持ち回りの君主制とは異なる制度になっている。大統領の仕事は、分散された権力のネットワークを統括することだが、このネットワークは個々の指導者の任期より長く続き、実社会の制約の下で政府の実務を遂行する。それはトップの気まぐれやポピュリストの勢いなどでは、簡単に崩れ去ったりしないものである」(P210)2020/06/07

えちぜんや よーた

95
【第22章科学軽視の横行】新型コロナウイルス感染症拡大の第二波に備えて、すべての大人に一度は読んでほしい箇所→"科学的思考を大事にすることは、その時点での科学的仮説がすべて正しいと考えることでもない。新しい仮説のほとんどは間違いだとわかる定めにある。推測と反駁の繰り返しこそ科学の推進力であり、だからこそ仮説を立て、それが反論に耐えて生き残るかどうかを見る方法がとられている。覆された仮説を取り上げて、これだから科学は信用できないと批判する人はこの点を忘れている。"(P303)2020/06/07

えちぜんや よーた

89
【第21章理性を失わずに議論する方法】この章のタイトル自体がすでに民放ワイドショーのメシのタネを奪っている。彼らから「理性無視で上等」な態度と政治的指向を取り除いたら何も残らない。日本では言論の自由が保証されている。偏向報道をしても政府から放送免許を取り上げられることはないだろう。その代わり総務省は放送用電波の使用について自由参入を認めて、もうちょっとましなことを言える事業者が入ってくる余地を認めてはどうだろうか。しょーもないことしか言えん放送局は視聴者によって無視されて自然淘汰されれば良いと思う。2020/05/24

壱萬参仟縁

40
巻末には上巻ともに、参考文献がある。人は長生きをして、健康に恵まれ、刺激的な人生を送っていれば真に良い状態にある(071頁)。自由と幸福感には関係がない(072頁)。人生における意義とは自分を表現すること(077頁)。知能とは、目的達成のため、新手段を考える能力のことである(132頁)。なんというか、この著者は楽観的な人である。読むほどに、承服しかねる説明もある。もっとネガティブなこともあると思うのだが。現代社会は、金か、命か、といわれたら、すぐに命と答える(203頁)。2021/03/17

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