内容説明
ひきこもりといえば、若い人たちがなるもの。そんなイメージとは異なり、実は中高年のひきこもりが多いという事実があきらかになっています。本書では、現場で支援を行ってきた臨床心理士が、心理学的な視点、ひきこもりの背景にひそむ社会的・経済的な問題、支援組織の制度上の課題、さらには、日本人に特有の心性や思考法といった、さまざまな観点から中高年のひきこもりとその実態に迫ります。また、ひきこもりからの回復への道筋についてもふれ、解決法も伝えます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ココマ
10
以前ひきこもりの息子を刺し殺した親の方が、世間の同情を集めた事件があったのは記憶に新しい。親が子を始末すれば解決する事だったのか。相談して的確な助言や助けを受けられる所は無かったのか。本書には以上の疑問にも充分答えられるような実用性を感じた。当事者に対してただ共感するだけでも良いとか、実際メンタル関係の仕事に携わる者として多くを教えられた。タブー的だが「親育ち」という、親が変われば子も変わるという解決策も遠慮なく書かれており、優しくも鋭い内容全体が頼もしい。国の情けない対応を勉強するにも向いてる本だと思う2020/08/25
Masako3
3
★★☆ 引きこもり支援をしている臨床心理士による,40歳以上の引きこもりの統計と実際の臨床ケースの紹介。定職を失ってから陥るケースが多い.主に経済的困窮であるが,他に特にヨーロッパと比較して地域に根ざしたソーシャルコミュニティが乏しく,孤独になりやすいことも一因.そして,就労援助のみに偏り,生活保護の給付が行き渡っていない.2021/02/28
まるちゃん
1
中高年のひきこもりは、他人事ではなく、その予備軍も含め、丁寧に向き合う必要を感じていました。親子関係や、人間関係を見直し、今できることは何だろうと考えさせられました。友人二人にも薦めましたが、親としての葛藤も大きく、一人では抱えきれないと思いました。信頼できる友人や、福祉関係の方との連携もできたら、親は少しは軽くなるのかなと思います。2020/04/30
marusan
0
まず、中高年の引きこもりが61万人もいる事に衝撃を受けた。8050問題がいずれ9060問題に発展すれば社会の歪みは更に深刻化するだろう。自己肯定感が低い当事者。しかしテストの点数だけで子供を評価する親たち、学歴社会の負の側面が原因では?昔は勉強が苦ではない人だけが大学に進学し、大企業に就職していたように思う。早い段階で選別され高卒は大卒より一足早く一人前の社会人になっていた。親にも社会にも受け入れてもらえない引きこもる人たち。引きこもりは大人、社会、世の中、政治家が引き起こした問題だと分かった。 2022/08/06
昌也
0
P35から内閣府の「ひきこもりの定義」として説明したあと、 P37「ひきこもりの一般的なイメージとはかなり違うことに気づかれたことでしょう。自室や自宅からほとんど出られない人ばかりではなくて、コンビニに出かけることができたり、あるいは、趣味の用事のために外出したりする方も「ひきこもり」と定義しているのです。2021/02/19