内容説明
日常のさりげない腰痛、風邪、些細な人間関係のトラブルをきっかけに妄想、不安障害、うつ病として表れる老年期の心理的な特異性とは? 背後にある老いとは? 多彩な精神症状を診てきた、老年精神医学の第一人者による、豊富な臨床を踏まえた処方箋。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobu
1
老年精神医学の先達で、「老いの心と臨床」など高齢者の心の襞に触れるような文章を紡いでこられた著者の最新版として早速読了したが、昨年9月に逝去されており、くしくも最終書であることを知ることになった。古き良き伝統的精神医学の手法で、症状の背後の心理を読み解く重要性をさり気なく語られる。「認知症が増加し多様化するなかで老年精神科医に求められているのは、誰でも診断できるマニュアルではなく、精神科臨床の原点に立ち返り生活の中で認知症がどのように現れるかをもっと知ることである」は重要な言説である。2020/05/10
Go Extreme
0
老いの多様性:個別・身体 老年精神医学:臨床は全てが応用問題→醍醐味 老化の過程:統合性欠いた醜悪な現象の集合≠規則性・連続性 アンビヴァレント→不安と抑うつ インスティテューショナリズム:病院の閉鎖的環境に適応→社会性失う 老いの円熟→生き方内包 人生後半生の課題:真の個性化 年をとると1日は長く1年は短い 1日の長さ=経験の質 1年の長さ=経験の量 老いないための健康法にすがる<自分なりの生き方を模索 孤独:生活形態<精神的実存 インクルデンツ:他者の評価を気にする レマネンツ:生きづらさ 物集高量2020/02/01
えっこ
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読むのに苦労した。第1章の著者自らの経歴とその取り組みの話が面倒くさかった。老年期うつ、認知症、それらに伴う言動には、加齢による身体能力の低下、親しい者がいなくなる孤独が背景にある。ケアの基本はさりげなさ。医療的ケアとは生活を柱にすることで、算数を解かせるのではなく、一緒に買い物に行く方が良い。どうやら認知症の薬は、今のところそれほど有効ではないらしい。残念だ。2020/05/02