内容説明
豊かな採集生活を謳歌した「野蛮人」はいかにして原始国家に隷属し家畜化されたのか。農業革命への常識を覆し、新たな歴史観を提示。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
104
なかなか手強い本だった。が、「万物の黎明」にて参照(p.489)されるほどの本。 「ティグリス=ユーフラテス川の流域に国家が生まれたのが、作物栽培と定住が始まってから4000年以上もあとだったのはなぜだろうか?」…それは単に国家の成立が難産だったからに過ぎないのではないという。 「著者は「ホモ・サピエンスは待ちかねたように腰を落ち着けて永住し、数十万年におよぶ移動と周期的転居の生活を喜んで終わらせた」のではないと論じる」。 2024/03/01
翔亀
60
信越や東北の縄文遺跡を訪ねるといつも、こんなに食物に恵まれていてこんなに自由だったのに、何故好き好んでめんどくさい稲作を始め国家をつくったのだろうと素朴な疑問を感じていた。定住と稲作(広く穀物農耕)、そのための灌漑の必要が国家を形成し文明を生んだ、そしてその魅力が人々を引き付けた、というのが世界史の常識だ。だから早くから定住し栽培農業をはじめた縄文だけが特殊なのかと思っていた(本書でも縄文は世界最初の定住コミュニティとの記述はある)。本書はこの世界史の常識自体が誤りであることを主張し、私の疑問は氷解↓2020/10/21
さすらいの雑魚
51
文明人とは生成途上の家畜である!と喝破した書で、国家に穀物生産を強要され都市の城壁という畜舎で家畜化される人類と穀物生産を拒否し都市を脱走して辺境の野蛮人たるを選ぶ人々の抗争を活写した書で、家畜化された穀物生産複合体の所有権を奪い合う初期国家のエリートと最強の野蛮人たる遊牧騎馬民族という闇の双生児の激烈な闘争と隠微な共謀の世界史を描く書。最新の考古学と生物学と歴史学を総動員しヤンガードリアス期後の定住化から最初期国家の成立にいたる歴史の謎に挑んだ意欲作。炭水化物抜きダイエットの副読本と違うからご注意を😁2021/08/14
おさむ
43
ハラリのサピエンス全史で印象的だったのは、農耕を始めたことで人類は農作物の「奴隷」になったとする解釈。本著はそれに通じる。穀物栽培と定住の開始と国家の始まりの間にある4000年の空白に着目。中央集権的な初期国家とは別に緩やかな平等主義的な湿地社会が存在したのだと推察する。そして植物も家畜も人間に「飼い慣らされていく」につれて、幼形成熟が進む。人間も感染症やストレスで死亡率が高まり、逃げ出す人が増えて国家は崩壊する。こんな紆余曲折を経て国家は生まれた。遊牧民の隆盛や現代中東のISの存在を考えると(続く)2021/01/09
サアベドラ
43
農耕と狩猟採集、定住と非定住、文明と非文明の関係に見直しを迫る文明論。著者はイェール大学の政治学者・人類学者。農耕の開始と国家の形成は必ずしも人類の進歩とはいえず(狩猟採集民に比べて初期の農耕民はむしろ健康状態が悪化している)、定住者と非定住者の関係は従来考えられていた以上に流動的で相互補完的であったと論じる。農業革命の見直しについては割と前から言われているのでそこまで意外ではないが、そこからさらに踏み込んで論じている点が興味深い。ただ、根拠が不足している部分を著者の思想で補っている部分があるのも事実。2020/02/24
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