内容説明
悲しみ、涙、嘆き、苦悩、葛藤、温もり、想い、怒り、悔しさ……。
法律に基づいて客観的に人を裁く裁判官。よほど「私情」とは縁遠い存在に思える。
しかしそうは言っても、裁判官も人の子。血もあれば涙もあるし、情にほだされてしまうときだってある。
死刑と無期懲役との間で葛藤もするし、モラルのない弁護士がいれば法廷で怒るときもある。殺人犯の更生を願いもするし、逆に涙する被告人に対して非情にふるまう女性裁判官だっている。
もしかすると、裁判官は誰よりも人間味に溢れた存在なのかもしれない。
本書では、30年以上民事・刑事・家事・少年という多種多様な事件を担当してきた元・裁判官が、実際に体験した法廷でのさまざまな“ドラマ”を交えながら、普段はドライにふるまう裁判官の「本音」を明かしていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
63
司法シリーズ。スキャンダラスなタイトルですが、長年の裁判経験からのエピソード集といった落ちついた佇まいの一冊。読みやすいですし、興味のあるジャンルなので楽しく読みました。たぶん聞き書きで、まとめた人の読ませる力は高いと思うんですが、日本語として文法が崩壊している文章(弟は弟の家で弟と商売していた、とか)が二、三あるのは残念なところです。Kindle Unlimitedで読めるので入っている人はオススメ。2022/07/18
やんちゃジジイ
45
青春とは人生の或る期間を言うのではなく、心の持ち方を言う。ときには20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いる。歳月は皮膚にしわを増すが、熱情を失えば心はしぼむ。20歳であろうと人は老いる。頭を高く上げ希望の波をとらえる限り、80歳であろうと人は青春にして已む。2020/01/18
kawa
29
タイトルは仰々しいが、内容は裁判官であった著者の肩の凝らない経験談や考え方(冒頭の死刑犯を巡る様々な話題はヘビーだが)が中心に綴られる。裁判所とは私も含めて、一生縁なきが大部分なので法廷ミステリーのお供としても良いかもですね。2020/11/11
Tomomi Yazaki
19
これは、元裁判官が現役中は言えなかった本音や裏話を大胆に文章にした本である。死刑確実だった凶悪犯が、何故か及び腰の検察が無期懲役を求刑してしまった馬鹿な話や、自分が裁く裁判中に原告が被告に殺害されたかも知れないのに、原告不在で裁判が中止になった話など、耳を疑う事実が綴られている。犯罪を知りつつ見逃すのは明らかに公務員法違反だが、今となっては時効となり、捕まらないことを知りつつ本にしているのでしょう。こんな裁判官ばかりじゃないと信じたいけど、こんな人が人を裁いていたと思うと、空恐ろしくなります。2019/12/29
みこ
18
読み物としてはまあまあ楽しめたけど、以前読んだ中山裕次郎氏の「医師の本音」と比べると、あちらが現代及び今後の医療問題にまで言及していたのに対してこっちは只の裏話に終始していた感じ。それ以上でもそれ以下でもない評価。2020/01/24