内容説明
いよいよ2020東京パラリンピックが開催される。メダルが期待される選手が注目される一方で、その努力の過程やプライベートの苦労が語られることはほとんどない。障がいを知った家族の葛藤と献身的な支え、パラリンピック出場を逃し挫折を味わった日々、レジェンド・パラアスリートとの運命的な出会い、コーチやスタッフと二人三脚で掴んだ栄光――東京パラリンピックをめざす選手9人が自ら選択した「正解のない道」に挑む。本書は、テレビなどの特集では決して描かれないパラアスリートの葛藤と覚悟を追った記録である。新潮ドキュメント賞候補作『東京タクシードライバー』をはじめ、ドラマチックな人間模様と心情描写に定評があるノンフィクション作家の最新著であり意欲作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Our Homeisland
21
いろいろな競技がフィーチャーされていて読み応えがある本でした。良い本なので、お勧めできます。この本を書くのには取材が大変だったろうな、と思いました。(著者は高校の同期です。)他にも「寿町」など興味深い題材にフォーカスする著者ですが、本作は特に、タイムリーで良い着眼点であったと思います。私自身も不思議に思っていたり知らなかったりしたことも次々と明らかにされました。東京パラで注目が高まった昨年、「位置づけと、どう接したら良いのか微妙で複雑だよなぁ」と考えました。著者のアプローチもそのような視点かだと思います。2022/02/27
りえぞう
2
◎、一口にパラスポーツといっても、とにかく千差万別ということが良くわかる。障害の程度にあわせたランクにエントリーするものや、逆にプレイヤーの程度を強制的に揃えてしまうもの。そしてパラを取り巻く健常者の世界と、そこにある問題、溝。筆者が良くも悪くもかなり普通の感性を持っているのが効いている。2020/08/27
Yuka
2
9人の現役パラアスリートをとりあげたノンフィクション。 どの選手も知ってる私にとっては、この本が初読の人にどう捉えられるのかはよくわからないけれど、短い文章の中でもパラアスリートの日常や考え方に寄り添うものだったと思う。 最後のマセソン美季さんのインタビューは、多くの人に読んでもらいたいなぁ。2019/12/22
ちゃんこ
0
障害から立ち直る、的な美談という観点からではなく、アスリートとしてしっかりと選手を捉えている。もっと、このような視点でパラスポーツを見られる人が増えるといい。2024/01/10