墨龍賦

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墨龍賦

  • 著者名:葉室麟
  • 価格 ¥730(本体¥664)
  • PHP研究所(2019/11発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569769844

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内容説明

建仁寺の「雲龍図」を描いたことで知られる海北友松(かいほう・ゆうしょう)は遅咲きの絵師だが、山水図屏風、竹林七賢図、花卉図屏風、寒山拾得・三酸図屏風など、すばらしい作品を遺している。しかしそこに至る道は、決して平坦ではなかった。近江の浅井家に仕えていた実家・海北家が滅亡。武士に戻りたくとも戻れず、葛藤を抱きつつ絵師の道を選び取った友松は、明智光秀の片腕・斎藤利三と出会い、友情を育んでいく。その利三が仕える光秀が信長に叛旗を翻す。本能寺の変――。しかしその天下は長く続かなかった。利三の運命は……。武人の魂を捨てきれなかった友松は、そのとき何を考え、どんな行動をしたのか。苦悩の末、晩年にその才能を花開かせ、安土・桃山時代の巨匠・狩野永徳と並び称されるまでになった男の生涯を描く傑作歴史小説。著者・葉室麟が、デビュー前から書きたかった人物を、円熟の筆で描き上げている。解説は、作家の澤田瞳子氏。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふじさん

88
武人の魂を持ち続けた桃山時代最後の巨匠・絵師海北友松が主人公。友松は浅井家の三男として生まれたが、兄の命令で出家し、狩野派の絵を学ぶことになる。海北家は滅亡し、御家再興を願いながらも絵師の道を選択するが、様々な事件に巻き込まれ、時代の流れに翻弄される。安国寺恵瓊との出会い、狩野永徳との出会い、明智光秀の片腕・斎藤利三との親交、そして本能寺の変等。磔にされた友の斎藤利三の遺体を奪還して葬ったシーンには心打たれた。生き方に感銘を受けた明智光秀と斎藤利三の死は、その後の彼の人生を大きな影響を与えることになる。2023/08/14

chantal(シャンタール)

80
太閤記などでちょこっと描かれる絵師、海北友松。武士の家に生まれながら幼くして寺へやられ出家するが武士への道が諦めきれない。安国寺恵瓊や斎藤利三との関わりの中で戦国の世を生き抜き、老境に達してから絵師として頭角を現す。建仁寺の雲龍図はまだ見ていないが狩野探幽が描いた妙心寺法堂の雲龍図はこの本をくれた読友さんと一緒に鑑賞した。友松が一時師事した狩野永徳の一門である探幽はもしかしたら友松に影響されたのかな?等と想像しながら読んだ。建仁寺へ仏活に行かねば。妙心寺にもまたあの迫力の雲龍図を見に行きたい。2022/02/01

tamami

47
しばらく前に葉室さんの『洛中洛外をゆく』を読み、そこで話題とされていた本書を手にする。戦国の歴史の流れの中に主人公の事蹟が点々と記され、それが線になっていく面白さを味わう。本書の解説者澤田瞳子さんは、「これほど書き手の人柄と作品が合致した小説家を、私は知らない」と記す。その作者葉室麟さんによって海北友松の生涯を通して描かれる戦国の武士の生き様に感慨を深くする。また手許にある海北友松の作品集等を見るにつけても、一枚の絵に潜む作者の想念を思い、世界が広がってゆくのを感じる。葉室さんの世界をもっと読みたくなる。2022/09/10

紅香@新刊購入まで積読消化あと4冊⭐︎

31
歴史は知らないことばかり。いつも新しい発見があり、驚かされる。その縁と生きざまに。。海北友松。その名は建仁寺での龍雲図で一挙に私の心を占めた。龍図が好きになったのもこの障壁画に魅了されたからだ。武人であるか、絵師で生きるかの迷いの最中、様々な正義を掲げ美しく生きた、無残に散った正義があった。織田信長より明智光秀派だったその生い立ち。法華宗。小さな破綻。あの龍雲図に込めた思いはきっとこうだったに違いない。葉室さんの心と相まって、さらに深い感慨を覚えた。あの龍はもうあの二人にしか見えない。また会いに行きたい。2019/12/25

ぼっちゃん

31
「雲龍図」を描いた海北友松の物語。武士に戻りたく鍛錬を積んでいたから、あの様な気のある生きた龍が描けたんだなと思わせる作品でした。また、解説で澤田瞳子さんが書かれていたが、小説の中にある「絵」にたいする思いをそのまま「小説」と置き換えられる様に、これからも葉室麟さんの魂は生き続けると思います。2019/11/21

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