内容説明
夜の林の闇の底で、彼女は、興奮のすぎさった後のけだるい体を横たえていた――。大学教授夫人・紀久子が、夫の教え子である学生との密会中に起った、思いもかけぬ殺人事件。女の心の中に渦巻く生々しい情念を、ミステリー・タッチで描く「密会」ほか、「動く壁」「目撃者」など、「男と女」を描く名短編9編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mondo
34
「密会」他9篇が収録されていて、「男と女」の揺れ動く情念を描いた短編集。「密会」は週刊新潮から依頼されて書いたもので、初めて原稿料を得た作品。翌年の1959年に日活で映画化され、現在、Amazon prime videoの邦画の中にあり、観ることができる。原稿20枚の短編だが、切れ味のあるサスペンスドラマで、これまで読んだことのない情事のシーンからはじまっていて興味深い。また、脚本と監督をした中平康さんの演出が素晴らしい。中平康は「狂った果実」を映画化し、石原裕次郎を世に送り出した人。機会があれば是非。2023/05/26
たぬ
27
☆4.5 記録文学の大家だけどこういう男女の機微を扱ったお話もあるのよね。再婚したてなのに若い女に手を付けるとか今なら炎上必至案件が随所にみられるけど、嫌悪感があまり湧いてこないのは冷静な筆致のためかな。作者30代の頃の作品を中心とした9編はどれも名作。中でも特ダネのために置き石をスルーした地方記者が葛藤する「目撃者」が最も印象的。2022/01/07
ぼちぼちいこか
9
密会、動く壁、非常の系譜、電気機関車、めりーごーうらうんど、目撃者、旅の記憶、ジジヨメ食った、楕円の棺。9編。ミステリーかと思わせて心の闇に迫る内容はさすがとしか言いようがない。2018/12/15
きりだんご⭐️新潮部
2
●知人より2024/12/06
Fujio Shinohara
2
初作家である。タイトルの密会と動く壁が良かった。動く壁は、SPの日常を描いており、警備員は知っていなければならないと思った。ただ、時代的に古く感じる所が多く、それが難点だった。2018/08/03
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