講談社文芸文庫<br> 沈黙のまわり 谷川俊太郎エッセイ選

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講談社文芸文庫
沈黙のまわり 谷川俊太郎エッセイ選

  • 著者名:谷川俊太郎【著】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 講談社(2019/12発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061983052

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内容説明

1952年、第1詩集『二十億光年の孤独』で戦後詩界に登場した谷川俊太郎。三好達治はその出現を「ああこの若者は/冬のさなかに永らく待たれたものとして/突忽とはるかな国からやつてきた」と推賞した。本書は、若き日の著者の考え方の基礎を示す著書『世界へ!』『愛のパンセ』の中から、21篇のエッセイを収録。初めに沈黙があった。言葉はその後で来た。――谷川俊太郎の青春!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

61
谷川さんがここまで自分の考えや哲学を述べ推敲しているのを初めて読んだ。初期の文章は20代前半で、若者なりの有り余る情熱やあふれ出てくるものを思わず書いたようにみえる。しかし、若者が抱えがちな暗さや気負い、過剰な美意識などが見当たらない。そこに彼の詞の独特さを見るように思う。詞を生きる手段であるとも言い切り、詩で生活していく困難さを語るのは本来は俗であるはずなのに、彼の詞は純粋だ。その人が、本来の愛は肉欲を外すことは出来ず、愛には百万の恋文より一度のあいびきの方が大切だと言う。矛盾しているようだが、納得す2014/05/22

寛生

48
【図書館】ものすごい本だった。まるで生まれたての赤ん坊をこの腕で抱きしめ、赤ん坊の息遣い、透き通った肌の色、母親の乳房の香を感じるような。何よりもそのヴォルナブルな体をそっと愛おしく抱きしめていたようでもあり、それは自分がどんなに暗闇で覆われていたとしてもその赤子の〈命〉のにおいにより、再び一歩踏み出す力を与えてくれるようでもあり。だが時には谷川の魂から血が噴き出し、その〈傷口〉は乾きはせず、反って彼の〈生と死〉へ勇敢に立ち続けているような姿をも想わせるような断片もあり。僕は谷川の血によって贖われていく。2014/03/25

へくとぱすかる

32
谷川さんの詩の不思議な点は、時代を感じさせないところ。初期の作品から感じるのは、まさに時代を超えた、日本語の詩の一種のスタンダードに思えるところ。にもかかわらず、谷川さんのような作品を書いた人は他にそれまでいなかったし、これからもそんなに出てきそうにない。ベールのむこうの、隔絶された詩の世界を見るような文体(あくまで私の感じです)は、どこから来たのだろう。大岡さんとの対談はそんな作風を解くヒントになるかもしれない。2015/11/25

佐島楓

18
この凛としたまっすぐさはなんだろう。書かれた当時まだ二十代なのに・・・。詩、ひいては芸術そのものに対する真摯な姿勢に強く惹かれた。迷っているときに読んだ本だったので、勇気づけられた。一歩ずつでも前進していかなければな、と思わされた。感謝。2011/08/25

あなた

8
谷川の行っていることは、この上なくシンプルな逆立ちである。「逆立ち」したということでなく、ただ「単に」逆立ちをしたということが重要。それは逆立ちなので、「ないこと=喪失」からはじまることもある。でも、喪失よりももっともっとシンプルなことからはじまる。つまり、逆立ちさえも「ない」ような「単なる」こと。ただそれだけのことがすさまじく画期的な輻輳する風になった2010/03/12

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