内容説明
雪深い東北の小藩・志津野藩の剣術指南役に嫁いだ女・里絵。江戸育ちの目に映る美しい山河の陰にも、御家騒動の芽はあった。世継ぎ争い、公儀の介入……。家中2派に分かれた抗争の渦中に巻きこまれた夫と舅に仕えつつ、彼女は技を磨く。あたたかい心と確かな眼を得た女剣客の成長を描く清冽なロマン。<「女剣」改題作品>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BlueBerry
40
藤沢さんの隠し剣シリーズに似た感じで女性が主人公のお話でした。なかなか面白かったと思います。際立って目新しいとか煌くものは感じられなかったのでお勧めまでは行かない感じ。でも良い本だと思います。2014/01/27
タツ フカガワ
6
里絵が嫁いだのは山間の小藩で剣術指南役の市成誠四郎。江戸から携えた嫁入り道具は手行李ひとつと小太刀一振りだけ。小野派一刀流の免許皆伝で小太刀の名手である彼女は、藩内の抗争に巻き込まれ剣客、刺客と立ち合うことになるが、殺傷することに無常を感じる里絵は、やがて斬らずに勝ちを得る「脱け」という境地を目指すようになる。前に読んだ短編集とは趣の異なる活劇で、古武道杖術師範で剣道五段という著者の描く剣劇は詳細にしてリアルです。無刀の本来の意味も本書で知りました。2018/07/03
天笑院たか姫
5
東北の小藩・志津野藩の剣術指南役に嫁いだ里絵。里絵も一刀流小太刀を嗜み道場の師範代を任される。その腕が藩のお家騒動に巻き込まれていく。女の幸せを求めるつもりがお家騒動に翻弄されていく女剣客の苦悩と成長が描かれている。出る杭は打たれるんですね!2016/09/08
オレ夫
2
メリハリのある文章で読みやすかったです。結末も綺麗にまとまり読後感は爽やかでした。里絵が少し強過ぎたような印象をもちましたが、成長していく姿が丁寧に描かれていたので納得?のいく強さと思えました。2011/11/17
フテネドラ
1
里絵は最後の一段を登れてないだけでほぼ完成している状態だし、旦那は(基本的に)江戸にいるので不在、舅・姑との仲は良好では、お話としてはいまいち盛り上がりどころがなく、極論女剣士である必要性すら乏しかったように思えた。 作者は剣の達人かもしらんけど、その知識をふんだんに盛り込まれてもこっちはど素人なのでようわからん…という不幸なマッチングだった(ノ∀`) 50点。2021/03/17