内容説明
平戸、網走、能登、京都と、景勝の地に、花と物語を訪ねる取材グループに加わった独身作家が、知らず知らず巻き込まれていった哀しい犯罪。復讐者の巧妙な罠がついに犯人を捕えた時、浮びあがった異常な執念と、愛にこたえない人を想う苦悩と絶望の果てを、甘美に、きめこまかく描く、長編ミステリーロマン。むくわれない愛の果てを痛切に描く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinshirinshi
18
1970年代に描かれた、皆川博子さんの初期の作品。随所に昭和の匂いが感じられる。愛した人間が自分の知らぬうちに死んでいたことを受け入れられない人間が、その死を自分のものにするために、ある罠を仕掛ける。その意味を汲んだこのタイトルは分かりやすいが、個人的には原題の『花の旅 夜の旅』の方が漠然としていて好きだ。複雑に入り組んだプロット、倒錯した愛、甘美だが感傷を抑えた冷たい文体。この頃から皆川さんのスタイルが確立しているのが分かる。それにしても、この時すでに五十歳近かった皆川さんがいまだ現役なのには脱帽。2023/03/21
つらら@道東民
11
皆川祭り3。凝りに凝った構成の妙に唸ります。虚構と現実が後半になるほどねじれ、大きな虚構を生み出していく。。。皆川作品にしては淫靡な感じが薄く、ミステリー色強めなので読みやすいと思います。表紙と単語が古めかしいけど、再評価すべき作品です。2013/10/21
ベック
2
これはなかなか素晴らしいミステリですよ。何がスゴイって、あらすじをうまく説明できないくらい入り組んでいるところが一筋縄ではいかないおもしろさに溢れている.2009/10/21
ビター
1
まず読み始める。或る少女の物語が展開されそれが第一話となる。しかし、それは虚構である。正しくは虚構の中の虚構ではあるが、それはそれとして今度は或る作家の日記が綴られる。物語はそれらが交互に折り返しながら進んで行き最後はそれらが交差する。圧倒的文章力と緻密な構成力によって成し遂げられた奇跡のようなミステリである。読め。2011/05/28
ぱーぷる・ばんぶー
0
著者の最初期に書かれたミステリー。雑誌の企画で日本各地の景勝地を取材しその写真に併せる短編小説の捜索を依頼された売れない作家。取材旅行の描写とそれから書かれた短編小説が交互に入る構成。各地で起こる死亡事件のミステリーと真相の暴かれる後半が面白い。2025/04/26
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