内容説明
1666年、白馬に乗った王室の公用使が、新雪をついてアルマソン村の宏壮な城館(やかた)に到着した。これが、貴公子マッチョリ殿の数奇な運命の発端となろうとは!? フランス王ルイ14世の双生児(ふたご)の兄弟、本来なら、華麗な宮殿に住み、優雅な日々を約束されたはずなのに……。その誕生にまつわる秘密とは? ボアゴべ、デュマなどであまりにも有名な鉄仮面伝説に、久生十蘭独自の史観と、一流の切口で迫る真実!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アドソ
7
入手困難かと思ったら意外と近所の図書館に。元々の鉄仮面伝説を知らかったのだけれど、これはなるほど想像を掻き立てられる逸話ですわな。いかにも十蘭の味付けが合いそうな素材だと思う。他の鉄仮面作品をよく読んだうえで読めば、本作のヒネリも余計に面白く感じられただろう。でもそうではなくても十分に楽しめるところがやはり十蘭小説の絶妙さ。長編にしたことでやや引き伸ばしすぎな感もあるが、連載小説ということだから仕方がないか。2017/02/06
きりぱい
6
デュマの鉄仮面も、ボアゴべの鉄仮面も面白かったけれど、十蘭の鉄仮面も面白い。なんと双子説に趣向が!これはひどい。世間と接触を断ってまで隠し育ててきた伯爵に、いまわの際のアンヌ・ドートリッシュが我が子にひと目会いたいと使者を送り込む。幸せにしてやりたいのは双方同じなのに、その辺の配慮が足りなさすぎて、何も知らないまま何でも甘んじて受け入れるマッチョリも哀れなら、その幸せを守るために人生を棒に振る者たちも悲惨。ほんと一生のんきに過ごさせてあげたかったよ。大体ルイ14世はもう王ですら・・。2013/12/16
冬至楼均
1
やばすぎてフランス人には絶対に書けない鉄仮面伝説。2012/08/31