内容説明
私の秘密、父母、師友。旅や滋味の楽しみ。人生の喜びに溢れたエッセイ。
「私の父は、どこまでも不運であった」。ある晩、別れて久しい父とばったり出合い、「お父さん」と呼びかけるが、泣き出しそうな顔で「お前さんはだれだい?」と返されてしまう(「私の中の日本人」)。ほか、フランスや京都への旅の想い出、今日のごはん、芝居や映画のことなど、66編を収録した珠玉の随筆集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
35
池波正太郎氏のエッセイには昔風の「落ち着き」がある。今や肯定できない要素も含むし、私には持ち得ない強さへの嫉妬もある。少し苦い郷愁が、時々読みたくさせる。著者は食べ物のことを芝居や映画と同じ熱量で語る。大阪の中華料理店がとても懐かしく美味しそうだった。豚天えび天など二十年は食べてない。「朝飯の旨い宿」は、洗練や素朴などそれぞれの特徴が味わい深く描写されている。著者はヘミングウェイの『老人と海』が好きだと言う。老漁師も池波氏も私には父親のイメージが強い。本書は1970〜80年代、著者50代の短文集。2021/02/28
nyanlay
11
様々な媒体に寄せた文が詰め合わされた一冊。私が生まれた頃が割と多い感じ。この時で池波さんがすでに日本から古いものが減ってきていると嘆いているのだから、今の日本はどう思われるんだろう。最後に奥様と一緒にフランスへ行った章が良かったです。2015/11/28
みやざき しんいち(死ぬまでにあと1,000冊は読みたいんだ)
6
【12冊目/30冊目標】司馬遼太郎が売れっ子で忙しくなってからのエッセイ。この人にとって文章を書くということはなんだったんだろう。鬼平も梅安も、想像力が湧き出て作品になったんだろうなぁと、読み終わって嫉妬した。2015/03/09
東森久利斗
3
池波正太郎、作家生活円熟期を迎え、国民的人気シリーズ「剣客商売」、「鬼平犯科帳」、「仕掛人梅安」を同時連載中の合間をぬって書き綴られたひとり言。味わい深い巨匠の愛した名店の味。食べたことないけど…2017/11/30
半木 糺
2
「新しいもの 古いもの」という題名であるが、基本的には「古いもの」に対する記述に筆が多く割かれている。昨今、社会がフラット化し、それへの反動として古い文化が見直されている傾向があるように思われる。池波のエッセイはそのような「古いもの」を探る際の一つの手がかりになるであろう。ただし、本書に登場する料理屋や旅館等に代表される文化は多くが亡くなってしまっているのであるが。2015/03/22
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