文春e-book<br> 音に聞く

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文春e-book
音に聞く

  • 著者名:高尾長良【著】
  • 価格 ¥1,300(本体¥1,182)
  • 文藝春秋(2019/11発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 330pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163911335

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内容説明

デビュー以来連続して芥川賞候補になってきた二十代天才女性作家が、沈黙を破り放つ決定打。
作曲に天賦の才をみせる15歳の妹。母語から離れ、自らの言語表現を模索する姉。『肉骨茶』『影媛』で注目を集める高尾長良が音楽の都ウィーンを舞台に繰り広げる待望の本格芸術小説!

芸術の都、ウィーンへ音楽理論の大家である父を尋ねた姉妹。
妹・真名は外界との接触を拒み、内から湧きあがる音楽を汲みだす。翻訳家の姉・有智子はその天分を生かすべく心を砕くが、父の言葉によって絶望と嫉妬を思い知らされる。
音楽が記憶に掬いきれない価値を刻印するなら、言葉は底に穴の空いた器に等しいのか――。

音楽と言葉がぶつかり合う新鋭の傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

390
高尾長良は初読。この人は、これまでに本書を含め3作を上梓しており、そのいずれもが芥川賞候補となりながら、受賞を逃している。ご本人はやはり欲しいかも知れないが(太宰もあれほど欲しがっていたくらいだから)、そんなものは全く不要である。その太宰も三島も受賞していない。そもそも近年の芥川賞作品と比して、遜色があるどころか、むしろ燦然と輝きを放っている。衒学趣味を嫌う向きもあるようだが、それこそがまさにこの小説を孤高の高みに押し上げているのである。冬のウィーンを舞台に繰り広げられる葛藤の物語ーこれこそが小説である。2022/03/12

starbro

197
第162回芥川龍之介賞受賞作・候補作品第五弾(5/5)、図書館の休館もあり、漸くコンプリートです。高尾 長良は、初読です。私に音楽の素養がないせいかも知れませんが、タイトルほど、音が聴こえてきませんでした。今回の芥川賞、私が選考委員だったとしたら、「受賞作なし」もしくは、『幼な子の聖戦』を推します。2020/03/22

buchipanda3

106
20年前に書かれた手記という形の小説。異国の地(ウィーン)で久方ぶりに父と再会した娘姉妹の物語が繊細で丁寧な筆致で綴られていた。語り手である姉・有智子の父親に対する複雑な心境や周りから受ける言葉に翻弄されるも気丈に振る舞う姿が印象的。音楽の父と妹、言葉の自分、二項対立による疎外感が彼女の心に影を落とす。そこに妹が姉へ渡した2本のヴィオラの旋律が心を大きく揺さぶる。音と言葉の掛け替えのない関係。姉妹にとって最も大事なものに気付いた場面の描写の見事なこと。言葉を得た彼女からは満ち足りた心地良さが感じられた。2020/01/10

南雲吾朗

66
音と言葉の対比。音はダイレクトに響くが言葉はその上に意味を載せられる、そして言葉は美しい表現を紡げる。そう思っていた…。しかし音楽から音以上のモノをを読み取れる人々は存在する。「音楽によってこそ、このような生と死の強固な結びつきと表裏一体の様相が明らかにされるのであって、言葉によってではありません。」音から、言葉以上の様々なメッセージを受け取れる人々。私にはそのような感受性がないので、はっきり言って羨ましい。音としての言葉、音楽としての音ではなく、音と言葉の融合により美しい楼閣を見出す。美しい小説だった。2020/01/16

メタボン

33
☆☆☆☆ 須賀敦子の文章を暗くしたような硬質な文章。それはイタリアの明るさとウィーンの暗さの対照のようなものか。この小説に現れる音楽もヴォルフ、カール・オルフ、シュミットと、決して明るくはない音楽。それがまた硬質な文章と響きあっているかのようである。何故だがタルコフスキーの映画を見ているような感覚に陥った。寡作な作家のようであるが、まだ若く、今後も追い続けてみたいと思わせた。2022/03/24

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