内容説明
生きるとは、何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。直木賞受賞作『何者』に潜む謎がいま明かされる―。光太郎の初恋の相手とは誰なのか。理香と隆良の出会いは。社会人になったサワ先輩。烏丸ギンジの現在。瑞月の父親に起こった出来事。拓人とともにネット通販会社の面接を受けた学生のその後。就活の先にある人生の発見と考察を描く6編!(解説・若林正恭(オードリー))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
286
内側の小説だなあ、とおもう。作家も登場人物も、社会の内側で器用に生きている、ようにみえる。でも内側には内側なりの苦悩や葛藤があって、それらがふわっと反転すると、世界が少しだけちがってみえる。そういう、プロットの小説だなあ、ともおもう。おそらくは作家と同世代の、落合陽一と古市憲寿がどこかの対談で、小説はプロットだ、みたいなことを言っていたけれど、プロットの小説ははっきりいって退屈だ。だって近未来の機械が書くような文章じゃないか。この身体性のなさ。スラスラとものすごい速度で読めて、しかもちょっと感動すらして⇒2019/09/26
あきら
198
いっぺんに読んでしまいました。 口から出る言葉と、出ない言葉で構成された文章がすごく心地よく、共感できる。 なので物語がというか、やり取りが記憶に残る、そんな短編集でした。 人付き合いって難しいなあ。2022/02/13
ショースケ
198
何者に続く作品。光太郎の想い人や、烏丸ギンジのその後が書かれたりして楽しめた。『むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった』には共感した。ずっと優等生で両親を喜ばせてきた就職セミナーの講師より、元ヤンの講師の方が人気がある。両親を困らせてきた妹のほうが今では両親と打ち解けている。何故だ。心の葛藤が手に取るようにわかる。『何様』では、去年面接を受けた克弘が面接をする側に回る。まだ何者でもない彼らを何者にもなっていない克弘が人物を判断する心の揺れ動き。若林さんが言っている。ブレーキを解放する姿を絶対笑わない。2021/12/23
あきぽん
171
平成生まれの文豪、朝井リョウ氏。高校生~若手社会人を描かせたら右に出る者はいないし、過去にもいなかった。高校生ですでに何者かになった朝井氏は、何様になることなく、何者にもなれない普通の人びとを横から目線で描き続ける。2019/07/16
buchipanda3
136
「何者」の姉妹編のような短編集。読んでいて思ったのは、作者さんは現実にさらされて戸惑う人間の心の奥の方にあるものをリアルに炙り出すのが上手いなあということ。それもありそうな場面を持ってきて。「水曜日の~」の話が良かった。光太郎の口ぐせに隠れていた自分自身への誤魔化し、夕子の真摯な覚悟、そして南階段がきれいな本当の理由が相まって胸がいっぱいに。「何者」で見せたように、光太郎の心にどれほど大きく刺さったのかが分かる気がした。表題作でも本気の一秒、誠実への一歩目という考え方にそういうのもあるかもと思わされた。2021/04/06
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