内容説明
私の誇りを傷つけるなど、万死に値する愚挙である。絶対に許してはいけない。学内で“皇帝”と称される稲見主任教授は、来年に副学長選挙を控え、恐喝者の排除を決意し実行に移す。犯行計画は完璧なはずだった。稲見はそう確信していた。あの男が現れるまでは(表題作)。劇団を主宰する間宮想悟は、借金の即時返済の代わりに恋人の看板女優を差し出せと実の叔父に強要され、その場で彼を殺害するが――(「恋人たちの汀」)。倉知淳初の倒叙ミステリ・シリーズ、全四編を収録。〈刑事コロンボ〉の衣鉢を継ぐ警察官探偵が、またひとり誕生する。/解説=香山二三郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちーたん
87
★★★★☆【創作独白レビュー】第一印象?まるで死神のような男だ……鈴木?彼はハンサムだが容姿以外印象に残っておらん……敗因だと?誰に口を聞いておる?!私は皇帝と称された男だぞ!私の計画は完璧だったのだ。たった1つたまたま誤算が生じたまでの事。顔に似合わん名をしたあの乙姫という死神面の警部。あの男が現れなければ完全犯罪は成立していた。敗因など皇帝の辞書にない。(了)◆表題作含む4話の本格倒叙ミステリ!☝では、おふざけしてますがとっても上質の作品です!〈刑事コロンボ〉が好きな方は一読の価値あり✨堪能しました!2020/01/24
オーウェン
72
名前は乙姫警部なのに相性は死神と呼ばれる中年の男。 そんな死神が犯人の立てた計画を暴いていく倒叙ミステリの4編。どんな小さなことも徹底的に追い詰めて証拠を集める。 その執念に犯人はボロを出したり、自身のミスを知ることになる。 4編どれもレベルが高いが、表題作でもある「皇帝と拳銃と」が出色。 皇帝と称される大学教授に死神が挑む構図。 ラストに皇帝のまま威厳を失わせない乙姫警部の逮捕は気品あふれる仕上がりとなっている。 このキャラだけでも完成されているので、続編がぜひ見たい。2022/05/01
えんちゃん
66
また会えて嬉しい!うっそり死神刑事と無駄にイケメン鈴木刑事。正確にはこちらが前作だけど。4章からなる倒叙ミステリ。初めに殺害現場→犯人の隠蔽→死体発見→死神とイケメンがジリジリ犯人を追い詰める。一見単調にも思えるお約束の流れだけど、トンデモやダマシやブツリがない正統的な推理に好感が持てる。また同じパターンと思わせてからの最終章がとても上手かった。倉知さんのユーモアがじわじわ滲み出ていている余談的文章もこれまた好み。続編も是非書いて欲しいです。2024/07/19
森オサム
57
乙姫警部シリーズ一作目。倒叙ミステリー短編集ですが、各篇ともそれなりに面白く読めました。絶賛とは言えないのは、刑事コンビの魅力が乏しいからでしょうか。二人とも見た目の特徴は繰り返し説明されるのですが、キャラが立っている様でそうでも無い。著者ならもう少し軽妙な筆致でも書けたとは思いますが、古畑任三郎は越えられないと思ったのかな?、真面目。事件解決の手掛かりが犯人の不用意な言動よりも、科学捜査にあるのが現代的でしたね。倒叙ものは心理戦、探偵にも、更には犯人にも魅力が必要だと思う。次作はもっとそこに期待したい。2022/10/10
tonpie
55
所謂「倒叙ミステリー」の短編が4つ入っています。犯人が殺人を行うシーンから始まり、おっとり刀で駆け付けた警察の捜査から解決までが描かれます。そう、覚えてますか?「刑事コロンボ」「古畑任三郎」ですね。あのテレビドラマで一番の見どころは何だったでしょうか?(犯人から見たら)イヤらしい担当刑事にネチネチと質問されて冷や汗を流し、ようやく帰りかけてホッとしたら、「ウチのカミさんがですね」とか言いながら引き返してきて、心臓(本質)を突くような質問を投げかけられる。2023/01/01
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