内容説明
美術(アート)という名のタイムカプセルが、いま、開かれる――。日本が誇る名画『風神雷神図屏風』を軸に、海を越え、時代を超えて紡がれる奇跡の物語! 20××年秋、京都国立博物館研究員の望月彩のもとに、マカオ博物館の学芸員、レイモンド・ウォンと名乗る男が現れた。彼に導かれ、マカオを訪れた彩が目にしたものは、「風神雷神」が描かれた西洋絵画と、天正遣欧少年使節の一員・原マルティノの署名が残る古文書、そしてその中に記された「俵…屋…宗…達」の四文字だった――。織田信長への謁見、狩野永徳との出会い、宣教師ヴァリニャーノとの旅路……天才少年絵師・俵屋宗達が、イタリア・ルネサンスを体験する!? アートに満ちた壮大な冒険物語!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
584
原田 マハは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者が描く俵屋 宗達、歴史アート小説、織田 信長まで書くと思いませんでした。上巻363頁、一気読み、続いて下巻へ。トータルの感想は下巻読了後に⚡⛈🌩2019/12/08
パトラッシュ
486
歴史上の事実と作家のエンタメ的空想力が最適の割合で融合した時、最良の時代小説が生まれる。俵屋宗達が織田信長に才能を認められ天正遣欧少年使節に加わり、イタリアで最新最高の美術を学ぶ機会を得るという設定には脱帽するしかない。宗達が使節に参加するまでの物語も無理なく描かれており、拵え物的なぎこちなさを免れている。唯一不満があるとすれば、少年使節そのものを描く歴史物としての視点に乏しい点。キュレーター出身の作者は美術面では造詣を発揮するが、信長やイエズス会神父らの個性や背景描写がおざなりだったのは残念だ。(続く)2021/03/24
bunmei
465
以前、MOA美術館で『洛中洛外図屏風』を随分長く立ち止まって、興味深く鑑賞した覚えがあります。今回マハさんが描いたのは戦国時代の画家・俵屋宗達。戦国の史実に基づきながらも「そうあれば面白い」と思うマハさんの豊かな世界観を、今まで以上にかなりぶち込んできています。織田信長を介して、狩野永徳と俵屋宗達が『洛中洛外図』をコラボしたり、天正遣欧使節としてローマ遠征までしたり…。歴史をも曲げて、さも事実の如く読み手を誘うマハさんの度肝を抜く構想力と描写力には、ただただ脱帽。下巻の『風神雷神』への興味が高まります。 2019/12/18
ウッディ
429
風神雷神図屏風の作者で謎に包まれた絵師俵屋宗達、幼い頃から絵の才能を発揮し、誰も見たことのないような絵を描きたいと願った彼は、織田信長に才能を見出され、天正遣欧使節のキリシタンの少年たちとともに、まだ見ぬローマを目指し、果てしない海を渡る。どこまで史実に基づいているのか疑問はありますが、一枚の絵から広がっていく空想と冒険の物語に引き込まれます。今よりもずーっと世界が大きく、未知であった異国の文化に触れて、宗達の好奇心がどのように 満たされ、成長していくのかを楽しみにしながら、下巻に入ります。2020/08/27
うっちー
424
すぐ下巻に行きます。2019/11/18
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