自己責任の時代――その先に構想する、支えあう福祉国家

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自己責任の時代――その先に構想する、支えあう福祉国家

  • ISBN:9784622088325

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内容説明

社会保障は相応しい人だけに与えよ。自己責任論によるこうした主張の欺瞞と、責任否定論の欠陥を指摘し、責任概念の再構築を目指す。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Mc6ρ助

10
『英国政府の行動科学的洞察班は・・より肯定的な責任観をとった場合の効果を試す・・求職者は、これまでどんな努力をしてきたかではなく、就職につながる「将来の活動への具体的な約束 」を尋ねられた。その結果はめざましいものだった。有給職への就職者数が劇的に増加しただけでなく、興味深いことに、職業安定所自体の職員がより熱心かつ喜んで職務に従事するようになった(p208)』ややもすれば自己責任を厳しく問われるこの頃、著者の言うごとく人のせいとも言い切れないなら、肯定的に捉えなければやってられない、やっていけない。2020/02/27

青雲空

6
モンク2冊目。非常に難解で、巻末の訳者解説だけでいいかも。100分de名著スタイルです。 近年、我々は責任の意味を曲解している。責任とは自己責任論者が言うようにその人の過去の行動に対する懲罰ではない。また、福祉は気の毒な人への上から目線の庇護であってもならないと。 モンクが提唱するのは、誰もが責任ある主体として自分の生活をみずから選び取ってゆくことを最大限に保障され、その可能性が保たれる範囲でのみ自分の選択の結果にも責任を負う、社会である。2022/07/17

人生ゴルディアス

4
エッセイ的なあれでしょう?とか思って軽い気持ちで読んだらかなり論理的な哲学してた。「責任」という言葉は昔は「他者への義務」として理解されていたが、いつの間にか「自活すること」という意味合いになってきた。また、昔は社会の構造や規範などが個人に与える影響がでかすぎるから個人の選択など無意味に等しく(だから自己責任など問わず)困窮している人には援助を、というスタンスだった。本書にはないが、リベラリズムがあらゆる文化規範から人を自由にしようとして伝統やらを壊してきたから、必然的に責任が個人のところに下りてきた感じ2020/03/30

shin

4
公共政策の本として、政治哲学としてオススメできる本。自己責任という言葉で個人の行動の責任を糾弾する言説が聞かれる今、その構成要件を解体し、より肯定的に責任を捉え、その実現のための公共政策の探求も行っている。問題意識、論点設定、論点検証と批評、提言まで、全てが切れ味鮮やか。 難解な術語は確かに多いものの、論理構造は明快であるため専門外でも読みこなすことが可能。結論は第5章に要約されているので、そこから読み始めてもよい。2020/01/11

緑虫

2
★★★☆ かつては他者な対するものとして用いられていた「責任」という語が自己の結果に対する「責任」に変わるまでの政治的潮流の変遷、懲罰的自己責任論への批判、責任否定論への批判、積極的責任論の提唱など。我々は決して自ら責任を負いたくないわけではなく、自らの生に責任を負うことは自尊に繋がっているという指摘にはハッとさせられたが、そこを足掛かりにしていかに懲罰的自己責任論を乗り越えるかという点についての記述は弱いか。2020/09/26

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