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内容説明
養護施設で育った美月と、育ての親を亡くしたばかりの月明は、中学二年生の夏休み、津田節子という富豪の別荘に、養子候補として招かれる。悲しみのにおいに満ちた別荘で、ふたりは手を取りあい、津田節子の思惑を探っていく。十四年前、ダムの底に沈んだ村、その村で行われていた魂呼びの神事、そして大口真神の存在。さまざまな謎を追ううちに、ふたりは、思いもかけない出生の秘密にたどりつく…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
95
富安陽子さんにしては大人っぽく、暗くて静謐なまさに月のイメージ。身寄りのないふたりの少女が巡り逢い、ダム湖に沈んだ村の秘密が明かされていく。二人を引き取りたいという老婦人の悲しみ、狼を祀る神社の謎、そして少女達が持つ不思議な力…。酒井駒子さんの表紙が物語に深みを与えていると思う。2016/09/15
ちはや@灯れ松明の火
95
さびしさは朝の空にとけ残った有明の月、となりで笑うあなたを探して、すきとおる絆の糸をたどる。月の標を持つふたり、闇夜に灯る青い瞳、かさなる視線が、もうひとりぼっちじゃないとささやいた。伏せた目に似た三日月が照らす湖に眠る秘密、涙のような雨に包まれた部屋に残る記憶。悲しみのにおい、心が還ろうとする場所、今はもういない人。逢いたいと、夜を統べる神へと祈った。届かなくても、取り戻せなくても。伝わらなかったままの想いがまるく満ちてゆく。かならず見つけると。夜の神が見守る空、ふたつの月がうつくしく、あかるく笑う。 2013/04/13
雪丸 風人
79
孤児院を訪ね回り、風変わりな条件を満たす少女を探す富豪の女。彼女の真の狙いは、子供の養育などではなく、今はダムの底に沈んだ村で過去に行われていた儀式と関係していた。 他の子供向け作品と違って、小学生以下では歯が立たないと思いますが、大人が読めばハマりそうな内容ですね。深まった謎が少しずつ少しずつ解けていく展開からは目が離せませんでした。 後悔を抱え続けたあの女性のようにならないためにも、大切な人には普段からきちんと向き合っていかないといけないと感じましたね。 (対象年齢13歳以上かな?)2019/03/05
ゆみねこ
75
富安さんの本は初読みです。読友さんの感想をきっかけに手にしました。文句なしに面白かった!児童書なので読みやすく、読メがなければ巡り合うこともなかったと思います。節子さんの選択に涙、美月と月明に幸せな未来が訪れますように。2015/03/14
くりきんとん99
74
読メで知ったこの作品。初読みの作家さん。図書館では児童書の扱いになっていたけど、児童書とは思えない。湖月荘に集まった人たちの関係。みづきとあかりの運命。そして津田さんの想い。すごく良かった。まさかのラストでまた胸が熱くなった。富安さんの作品、他のも読んでみたい。2013/01/05