内容説明
話せない、書けない――自身の体験した「失語症」という障害を言語化し、回復の過程を描く。二度の脳梗塞によって言語脳を侵された著者は、小児神経学を専門とする医師として、患者として、自身の症状から、どのように脳の働きを解釈し、どう訓練し、何を思ったのか。これはいわゆる闘病記にとどまらない。「言葉を失うこと」とは何なのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
22
二度の脳梗塞により失語症となった医師による体験記。非常に冷静に、かつ丁寧に書かれている内容で、ここまでのことを書ける人が失語症?とすら最初は思ってしまったのだけど、読みこめば読み込むほど、そう単純な問題でないことが分かった。言葉という機能をつかさどる脳の仕組みの複雑さと、それが損なわれたときにどうなるかということが臨場感を持って伝わってくる、読み応えのある内容です。失語症となった状態からの苦労と回復の道筋はとてもリアルで、世の中に多数いるであろう同じ障害の人の存在についても改めて考えた。おすすめです。2020/08/01
okatake
0
立て続けての2度の脳梗塞により、言語を失った小児神経科医であった著者の体験記。 失語になることで生活や仕事をするうえで、どのような影響を受けたか、自分の言語上の問題点やどうやって克服しようとし、していったかを冷静な筆致で書かれている。専門家でないと難しい箇所もあるが、生きていく上で言語がどれほど重要なものとなっているかが分かってくる。2024/09/15