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内容説明
借金返済、戦費調達、景気浮揚――理由はさまざまだが、「金融緩和」に手を染めた多くの為政者は、うたかたの成功を握りしめたまま出口を見失い、潰えていった。古代ギリシャから現代まで、形を変えて人類史に現れ続ける「金融緩和」の実相に迫る。発動の熱狂から6年、アベノミクスの終焉が歴史の中から浮かび上って来た。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えちぜんや よーた
77
マネーは金属(金・銀など)や「政府の信用」に裏付けられようとあくまでも取引の手段にしかすぎない。目的はあくまでも取引を活発化させることである。この感想を投稿した時点で新型コロナウイルス感染症の影響により実態経済の先行きがまったく見通せない。「日銀バズーカ砲」がいつもの50%増で株式市場に資金をぶち込んでも全く反応しないことがまさにその具体例である。3月31日(月)のNHK9時台のニュースを見る限りは、今の日本では短期的には金融政策ではなく財政政策しか選択肢はないと感じた。2020/03/31
蘭奢待
40
金融緩和、マネー供給量と価値の関係。インフレと国の借金の関係。金の改鋳と紙幣増発の違い。モノとしての紙幣とデジタルデータとしてのお金。国債を中央銀行が買い上げるという意味。緩和による財政立て直しと、財政破綻。銀行券の信頼性。紙幣の価値の根拠は?デフレは果たして悪なのか? 金融緩和の到達点は財政破綻か、ハイパーインフレか、デノミか。はたまた無尽蔵に緩和し続けるのか。 知れば知るほどわからなくなり興味は尽きない「お金」の発行と財政コントロール。この著作は答えを出していない。 2020/11/02
kei-zu
23
スペインは南米に大量の銀を発見しながら、なぜ衰退に向かったのか。金融市場を拡大するような効果的な投資が行われず、マネーの増加が膨大なインフレを引き起こしたとの説明には、なるほど。 本書の終わりには、近年の日銀のマネー供給政策の危険性を指摘する。 本書には記述がないが、日銀の引き受けた国債が近年の金利上昇傾向に危険性を増しているとの指摘も近頃よく見るところですね。2023/05/06
seki
17
日銀の異次元金融緩和を念頭に捉えつつ、マネー(本書では貨幣より広い概念)の歴史を追っていく一冊。金や銀が貨幣だった時代から紙幣へ変わっていくのは、経済活動の進化から当然のことといえるが、ただの紙きれに価値を持たせるのは、やはり魔術である。この点、筆者は紙幣が価値を持つのは、人々が信用しているからに他ならないと指摘するが、この当たり前のことを、我々は忘れがちである。信用されない経済は破綻する。今まで歴史はそれを証明してきたにも関わらず、米サブプライムローン問題では懲りない人たちによって歴史は繰り返された。2020/08/23
funuu
16
「金があれば、愛も勇気も買える。貨幣は、できない事々を兄弟のように親しくさせる。互い矛盾しているものを無理矢理に接吻させる。by マルクス」貨幣紙幣=神 共同幻想または共同主観だ。この人類の能力が協力して他の動物から優位にたち文明文化を作った。アベノミクスは著者の指摘通り国債の日銀引き受け。前回は敗戦のインフレとなった。今回も何らかの崩壊となるだろう。2019/12/11