内容説明
大国の周辺国から国際秩序を見直せば、まったく新しい「世界地図」が立ち上がる。フィンランド、ウクライナ、アルメニアを歩けば、「ロシア」の勢力圏構想が浮き彫りになる。ミャンマー、東ティモール、ザンビアを歩けば、「中国」の世界戦略が見えてくる。国際協力と勢力均衡の最前線で考えた「21世紀の地政学」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
118
北岡さんは私と同年代でその政治学に関する著作はかなり読ませていただきました。これはJICAの理事長として大国ではないその周辺にある世界各国を回られた感想をもとに日本も学ぶことがあるのではないかという問題提起の書であると思いました。従来の著作よりも固い感じではなく多くの人に読んでもらうことを主眼に置いているのでわかりやすいと思われます。2020/01/19
雲をみるひと
30
作者がJICA理事長時代に自己の経験などをベースに国際関係、地政学について論じた本。全世界が対象のため、各地域についての記述、いわゆる各論について深く論じられているわけではないが、大局的な視野や日本の国益について考えることの重要性が各所で強調されていて示唆に富んでいると思う。2023/03/07
奈良 楓
17
【良かった】他の人も持つ感想ですが、地政学では無かったです。ちょっと馴染みでない遠くの国と日本の関係を見た本で、コンセプトは今の日本人に大切なものと思います。ただ、JICAと筆者の活動が中心で、もう少しその国のことを深く語ってほしいとは思いました。ダボス会議などの筆者の体験談も蛇足か、と思う。とてもパワフルに各国を巡っているのはよくわかりました。2021/01/21
seki
16
地政学の本というより、政治学者、JICAの理事長である筆者が、日本の国際支援を通して、外交のあり方を問う一冊といったところか。覇権戦略的な援助を展開する中国、ロシアに対し、しがらみのない支援を貫こうとする筆者の姿勢には、敬服するかぎりである。アフリカや中央アジアなど普段耳慣れない国の情勢も描かれており、興味深かった。これらの国で多くの日本人が支援のため、活躍しているという。中には治安情勢が悪い国もあるだろう。ナショナリズムという言葉は好きではないが、日本という国に改めて誇りを持てた一冊。2019/09/08
sine_wave
12
著者は国際協力機構(JICA)理事長。最近訪問した国の実情を記してあるので説得力がある。日本の素晴らしいところと、弱いところを率直に述べてあると感じた。やはり英語を初めとして外国語に弱いのは、日本人がリーダーシップを取るときに問題となるらしい。地図好きな私的には、世界旅行をさせてもらっていい気分である。2019/09/02