内容説明
向田さんと私とは、同志でもなければ、戦友でもなく、かといって師弟でもなく、男と女でもなかった。短いスカートと半ズボンの、お互い膝小僧の見える幼馴染みだった。――そんな忘れえぬ人=向田邦子との思い出を、訣別の意もこめて綴るエッセイ。忘れ物をいっしょに探して歩いてきた向田さんに、さようなら!! 20年の歳月、それは一緒に忘れものを探し歩いてきた時間――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
94
点訳練習(さらば向田邦子145~152)。向田さんの作品は数冊読んでいる。イエとウチの違いのこだわり。ウチ…という暖かな団欒のイメージ。そういうことにこだわり続けた向田さんを慕い続ける久世さんの思いが伝わってくる。さらば…と区切りを着けるように書いたのも向田さんとの決別ではなく、もっと近くに感じるための区切りのような気がする。初めて本を点訳した。何度も読み返し今までの読書とは違う気持ちになった。読みっぱなしではなく汲み取ることの難しさも感じた。2014/01/24
カノープス
2
通り一遍の美辞麗句や取ってつけたような関係性の強調はこの本に存在しない。冷静な分析と適切なパートナーシップの中から作り出した作品の思い出が詰まっている。久世の回想は、向田との20年間を振り返りながら、多面性と奥深さ、矛盾を内包した人間という生き物の複雑さを浮き彫りにし、読者に内省の旅を促す。向田の不在を通じて彼女の心の奥深くに入り込もうと試みる過程が描かれ、喪失が人間の複雑な内面をより鮮明に照らし出すことがわかるのだ。こうした証言を久世が残した意味は大きい。これほど決定的な「向田邦子論」はないだろう。2025/08/24
のんの
2
向田邦子作品を2冊読み終わった後に読んだ本。向田さんと生前、いい距離感の関係を築いてたんだなと感じられる久世さんからみた向田さんについての話。凄く明るい感じの印象を向田さんについて感じていたので、暗い部分が読んでいて感じられたのは新鮮だった。2021/05/02
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
1
☆×4.5…残念ながらこれを書いた著者もついぞ亡くなってしまわれました。今頃彼は彼女のところへ会いにいけたのでしょうか?それがちょっと気がかりでもあります。やはり思うのは彼女の作品のインパクトの強さ。私は残念なことに彼女の著作はまだ1冊しか読んでいません。だけれども印象強く残っているのです。そして、それを遺すだけあり、著者に対する彼女の印象もまたひとしおだったようですね…それよりも気になったのは著者の不祥事。まさかそんなことがあったとは…そういう人には思えませんでしたが。2012/05/08
あけちょび
1
久世さんの命日に読み返したい本2009/01/22
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