内容説明
本書は、イメージと違って、六代目三遊亭円楽の貧乏な子供時代、東京下町の貧しい暮らしから世渡り上手になっていく様、五代目圓楽から乞われて弟子になった入門を機会に、周囲から期待され、乞われて、最後には師匠から名前を生存贈与される落語家人生をふりかえるものです。
そして、その人生が上へ上へ漂着するような人生だったと判断した円楽は、六十九歳にしてはじめて、自分の意志で、“止め名”となって封印されている三遊亭圓生という大名跡を襲名することを決意いたします。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
83
幼いころの環境で培った”距離感”と行動力。その延長線上で見出した天職。時代の寵児に揉まれ、我が道を進む。転機を挙げるなら、他力の進学と、自力の”師匠一本”の決意の瞬間。エピソードからは、三平師匠の待ち伏せ。文字通り、最後まで注いだ師匠の気持ちにグッとくる。対照的に思わらず笑ったのは、師匠の父の軍隊時代のインブ/チブ。そして、初めて作った名刺の肩書。どんな時代だよ~。なお、六代目円楽襲名時に「圓」ではなく「円」としたのは、やはり先代への敬意と共に向上心と推察。コロナがもう少し落ち着いたら、また落語に行こう!2020/07/26
きみたけ
65
先日他界された六代目三遊亭円楽師匠を偲んで。2019年11月刊行の自伝。六代目三遊亭圓生師匠(孫弟子)、五代目三遊亭圓楽師匠(弟子)、立川談志師匠へのリスペクトに満ちあふれた一冊。 わたしの記憶では「笑点の楽太郎さん」のイメージが強く、当時司会を務めていた先代の圓楽師匠を「うま」扱いして茶化してたのを覚えています。 ご冥福をお祈りします。2022/10/13
ばんだねいっぺい
33
笑点と伊集院光のラジオからしか見えにくかった師匠の姿は、お人好しで計算高くそして働き者だった。「楽ちゃんなら、できるよ」を断ることもできただろうに、まわりの人間模様から、自分の姿を考え、あの通りの師匠に。 感服。2023/07/10
Nazolove
22
いつもながらだけど、落語家の人の半生って軽くいち落語だなーなんて思ってしまった。 今でこそインテリ、冷静キャラなんて勝手ながら思ってたけど、昔はヤンチャしてたり大変な暮らししてたんだなーなんて思った。 昔の落語家ってけっこうむちゃくちゃやってたんだなーなんて思ってしまった。(そう考えると今の落語家さんたちっていろんな面で恵まれてるのかもしれない) 個人的にびっくりしたのは、落語家さんって年取ったら衰えちゃうと思ったら自分の芸を自分で俯瞰で考えられて、良いところを伸ばそうとする精神にビックリした。2019/11/01
gtn
18
今まで円丈を通した落語協会騒動しか知らなかったが、印象が一変した。全国中をホール落語で駆け巡る大師匠圓生の生命力、充実感、可愛らしさに間近に接する著者。寄席は芸を磨く場としては必須ではないとの見解も新鮮で、騒動後の行動に積極的価値を与えている。先代との師弟関係も美しい。あの我儘な師に付ききった著者。あるだけの師の恩を紹介する。理知的なイメージと異なり信義の人である。2020/02/11
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