内容説明
天皇陛下(現上皇さま)が2010年に退位の意向を周囲に明かしてから9年。この間、退位を認めるかどうかをめぐり、宮内庁と首相官邸の攻防があった。退位実現、新元号発表までに何があったのか。朝日新聞記者が内幕を明かす迫真のノンフィクション!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
50
保守層を支持基盤とする安倍総理と、天皇側との生前退位をめぐる攻防。天皇を支持する右派と、異議を唱える左派、という構図は完全に壊れていた。ある保守派論客は「天皇と保守派は、お互いが抵抗勢力になってしまった」とまで言う。自分の理想とする天皇制が、天皇の「お言葉」で覆された時の保守層の困惑は大きかった。皇太子として生まれた時から「国民のために祈る」という人生しか選択肢がない人に「俺の思ってるのと違った」と文句を言う保守派って、自分の妄想で相手を神格化させ「迷惑でしかない愛情」を押し付ける片思いの学生みたいだった2021/12/10
南北
37
読友さん本。令和に改元するまでの官邸と宮内庁との攻防を記載した朝日新聞取材班のドキュメンタリー。元号の選定過程も詳しい。上皇陛下の「平成の玉音放送」に対して否定的なコメントを述べる保守業界の人が多かったことにびっくり。十七条憲法の第3条「詔を承けては必ず慎め」を理解していないのでは?と思ってしまう。巻末の「上皇后」「皇嗣」などを決めた経緯がわかる資料はありがたいが、なぜ先例に基づかない名称にしたのかが読んでもさっぱりわからない。皇室では「新儀は不吉」なのですけどね。2021/03/16
杜子春
25
この過程を多少見聞きしていた立場からすると、びっくりするようなスクープ情報はあまりなかった。それでもきちんと記録に残すことは大事。ネットを検索しただけでは得られない情報が掲載されている。読売の方も読むか、迷うところ。2019/12/10
ほうすう
13
朝日新聞による退位・改元についてまとめた一冊。第一部が退位をめぐる攻防。第二部が元号である令和が決定する舞台裏。第三部が今後の皇室への問題提起といった内容。退位や改元というのは歴史上大きな一つの節目。一冊の本として記録を残すのには大きな意義があると思う。一方で、何というのであろうか熱心な取材魂というかジャーナリズムというのは必要なのかもしれないがあまり気持ちよく感じるものではなかった。 同テーマを扱った読売新聞のものと読み比べると、こちらの方がより記者目線で主体的に取材過程を描かれている印象。2020/06/04
犬養三千代
11
生前退位の陛下の思召と阻止しようとする官邸。スピード感と緊張感溢れる攻防。改元での新元号決定までも選ばれた漢学者、国学者多数に張り付く新聞記者との攻防もスリル満点。中西進センセのぬらりひょん、その他のセンセもスルーのなか記者は夜討ち朝駆け。平成は好きじゃなかった。夢がないと思った。令和は良いな。巻末の資料は有り難い。2021/03/10