内容説明
歴史のひとこまを力強く描く感動作品。
一人のイギリス青年が、一枚のゴッホの絵をきっかけに訪れた南仏カマルグで、原因不明の高熱におそわれ動けなくなる。辺りにはフラミンゴが無数飛んでいた。気を失った後、助けられた家で不思議な話を聞くことになる。
第2次世界大戦の末期、南仏の田舎町カマルグにもナチスはやってきた。
そこで何が起きたのか………?
それは、フラミンゴと話ができる不思議な力を持つ少年とロマの少女の物語だった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
75
知的障害はあるけれど動物を癒す力があるロレンゾの一家と、ロマの一家の交流。暗い戦時中の話だが、この話の中には、悪人はあまり出てこない。侵略者であるドイツ軍の伍長も、侵略者という顔の下に子ども好きの優しい顔を持っている。おそらくは、ユダヤ人やロマに対する迫害はもっと過酷なものだっただろうが、それは、作者は、優しい話を書きたかったのだろう。心優しいロレンゾの周囲には、悪人は要らない。2019/12/16
☆よいこ
74
YA。部屋に飾っていた1枚の絵がきっかけで旅に出たヴィンセントはフランスの沼地の脇で死にかけた。助けてくれたのは人里離れた牧場で暮らすロレンゾとケジア。ロレンゾはフラミンゴや動物達と心を通わす不思議な男性で、言ってることは分からないけれど純粋で優しかった。ケジアは弱ったヴィンセントを看病してくれた。快復していく中で、ケジアはこの牧場であった、過去の戦争の話をしてくれた。ロマであること、壊れたメリーゴーランドのこと、フランスにやってきたドイツ兵のこと等…▽廻るメリーゴーランド『アヴィニョンの橋の上で』2020/08/30
天の川
55
モーパーゴ3冊目。メリーゴーランドと共にフランスをめぐるロマの少女と、動物と心を通じ癒す発達障害の少年は生涯の友となる。ロマも障害者もユダヤ人と共に、ナチスの標的となった人々だ。モーパーゴの本の素晴らしいところはドイツ軍=悪と一括りにしないことだと思う。彼らとメリーゴーランドに理解を示し、できる範囲で守ろうとする伍長の存在だ。少年は伍長の心を感じ取り信頼する。伍長は息子を戦闘で亡くした教師。彼の目的はただ一つ。子ども達を救うこと…。為政者の号令で戦争は始まる。→2022/03/05
万葉語り
44
夏休み課題図書の1冊。南フランスの片田舎に住む、動物と深く心を通わせることができる発達障害の少年とジプシーの少女が迎えた戦争。ただ日常を慎ましく生きているだけなのに迫害され、居場所を奪われる。フラミンゴは日常と平和の象徴でその声が聞こえない愚か者が世の中には多数派としていて、世界を足踏みさせるのだと思う。2020-1502020/08/15
長くつしたのピッピ
27
第二次世界大戦中の占領下のフランスの村を舞台に発達障害の少年とロマの少女の物語。どちらも世間的には、少数派で異質。当時のナチスの蛮行から激しい迫害を受けずに終戦を迎えた事に安堵した。定住しないロマの習性や組み立て式メリーゴーランドなど、ヨーロッパ文化への理解の及ばない不思議な感覚で読み進めた。けれども、夕闇の中で松明に照らされ長閑なアコーディオンの奏でる音楽と共にゆっくりと回るメリーゴーランドを想像すると、ワクワクとした気持ちになった。この二人の子どもを取り巻く大人も素敵。良書2022/02/12
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