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内容説明
「米中印 3Gの時代」がもう10年後に迫っている! 2022年には中国を抜き、世界最大の人口を有する大国となる「アジアの巨象」インド。2028年までには、経済規模で日本とドイツを追い抜き、世界3位の経済大国になるといわれている。
この劇的な成長を牽引するのは、2019年5月の総選挙で圧勝し、二期目のインド首相を務めることになったナレンドラ・モディ。インド北西部グジャラート州の貧しい村に生まれ、駅でチャイ(インド式ミルクティー)を売る手伝いをしていた男が、ヒンドゥー教徒を中心とする政党、インド人民党の中で権力を手にしてゆく。敬虔なヒンドゥー教徒でありながら、グジャラート州首相のときから外国資本を積極的に受け入れ、自ら敏腕な「セールスマン」として巨大な市場の可能性を世界にアピールしてきた。
国内でも、13億人のビッグデータを集めてAI国家戦略を推進し、アジアで初めて衛星を火星の周回軌道に載せるなど、強いカリスマ性でインドを率いている。一方で、突如、高額紙幣を使用禁止にしたり、1億個のトイレを作ると宣言したりと、インパクトのあるリーダーシップが常に話題に。安倍首相とも良好な関係を築き、日本とインドの間には原子力協定が結ばれ、「新幹線」の輸出が見込まれている。
アジアの中で今後、日本が3Gの一角をなすインドと付き合ってゆくにはどうすればいいのか。NHK元ニューデリー支局長が最新の情報と共に綴る。この一冊で、インドの今が全てがわかる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
48
本書に書かれていることではないが、2017年インドの鉄鋼(粗鋼)生産高は日本を抜き世界第2位となった。人口ではまもなく中国を抜き去る。しかし貧富の差が大きく、ひとりあたりGNIは中国の1/5に過ぎない。このポテンシャルは高くともゆっくり歩いていた「巨象」を猛烈に走らせようとしているのが現首相のモディだというのが本書の見立て。グローバリズムの波が結局「南北」の不等価交換という人口移動の制約によって成り立っていた先進国のアドヴァンテージを奪った現在、この人口ボーナス溢れる国がどこまで伸びるか目が離せない。2019/11/14
HMax
28
いかにインド(ヒンディー語ではバーラト)のことを知らなかったのかを教えてくれました。第二次大戦以降のインドの歴史、文化的背景がよくわかる良書。世界地図が変わるかどうかは別にして、世界最大の民主主義の国であるインド。国の平均年齢が25歳、毎年150万人のエンジニア予備軍が大学を卒業。次の日本の首相に、インドを見習いIT省かAI省を作り、大逆転を狙うことを提言します。2020/08/08
hk
27
『インドはもはやカレーの国ではない』 インドの最新事情に関して述べられた類書は少なく本書はすこぶる貴重なのではないだろうか。インドの二大政党である「国民会議」と「インド人民党」の対立構図を整理できたのが大きな収穫。本書によればインドは2028年には日独を抜き去ってGDPで3位に浮上し、同じく28年前後に人口でも中国をまくるようだ。よく中国は眠れる獅子に例えられるが、インドは「巨象」だ。動きだしは鈍いが一旦檻から出ると手が付けられない。果たして経済と人口で巨象がトップに躍り出た時、一体何が起こるのだろうか。2019/12/17
yyrn
25
インドについて知っていることを挙げよ。う~ん、ガンジス川、ヒンズー教、カースト制、ガンジー、タージマハル、ムンバイ、カレー、チャイ、ダージリンティー、タタ財閥、歌って踊るインド映画?サリー、ゼロの発見・・・「ゲイシャ、ハラキリ、フジヤマ」レベルで恥ずかしいが、そんな人が読むと良い本。インドの現状と、なぜそうなったのかを独立運動辺りまで遡って教えてくれるので、スズキが受入れられた理由やIT技術者たちが世界で活躍している訳などが理解でき、モディ首相が先導するインドの未来も見えてくる。一筋縄ではいかないと思うが2020/01/10
しゅわっち
22
読んですごく思ったのが、古い慣習から脱却しているインドの姿でした。ITは、新しい産業なので、カーストの影響を受けずに発展してるように感じた。また、0を発見した国なので、物を作るより、思考を重点に置くために、インフラは、自分で作れないと感じた。日本との差を浮き彫りにしてると思った。国を豊かにする政策で、支持を得ている首相の姿があった。2020/08/18