内容説明
八世紀半ばに創建された正倉院は、当時の宝物を今に伝える世界でも稀有な存在である。聖武天皇ゆかりの品が目を惹くが、東大寺に関係する品や文書も多く含まれ、内容は多岐にわたる。宝物の献納や出用、御覧の記録をひもとけば、時の朝廷や権力者の姿が浮かび上がると同時に、いかに多くの人々が収蔵品の保存に力を尽くしてきたかがわかり、興味深い。一二〇〇年以上にわたって宝物を守り続ける正倉院の歴史をたどる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HMax
18
1260年前、光明皇后が聖武天皇が奈良の大仏さんに寄贈したものを保管したのが始まり。正倉院は1260年間、公的に管理された「倉」として保管されている品目について品名・数量等、明確に記載されている点が、王墓や地下宮殿等で伝わる宝物とは異なる、世界でも非常に稀な施設。泥棒に入られたり、雷が落ちたり、倉庫から出して返さない人がいたり、それらが記録に残っているということ自体が凄い。2018/11/11
rinrinkimkim
4
本書も旅のお供で下りの新幹線で読み終わりました。藤原道家って道長の孫ですよね?そして不比等の末裔。戒壇院で受戒の折に王義之の筆だよって伝説の屏風を「いやこりゃご先祖(不比等)様の字だと言った」的記録が東大寺にあるって・・もう古過ぎなコメントが今も残る。イチイチすごい話にまたまた興奮です。不比等=淡海公だそうですよ。これからはこう、呼ぼう。経典何十冊書いたから筆交換して(奈良時代)のお願い書まで残ってるんです。数年前の桜を見る会の名簿は間違いなく残ってますね。2021/11/11
rinrinkimkim
2
実に内容の濃い一冊でした。付箋だらけです。龍の日干し「紅龍」という珍品があるそうです。なぜか雨が降るという伝説があって、足利将軍が見学に来た時も雨だった。平成20年に初出陳の時も写真撮影・事前調査・搬出積み込みすべて雨!すごい!!これ見てみたいです。蘭奢待の持ち出しも真に迫る文章でワクワクしました。本書は手元に置きたい学習用本です!正倉院展に行かれることを予定している皆さん!ぜひ!本書読んでおでかけ下さい2019/10/11
Humbaba
2
正倉院は1200年以上にわたって宝物を守り続けてきた。そこには、如何に多くの人がその保存のために力を注いできたかを示されている。2010/03/04
yuki
1
正倉院というと光明皇后が聖武天皇の使っていた品物を納めた倉、というイメージが強かった。この本を読んで、正倉院は東大寺の正倉なのだという認識が生まれた。2009/11/15