内容説明
政権の欺瞞から日常のハラスメント問題まで、隠された「呪いの言葉」を
2018年度新語・流行語大賞ノミネート「ご飯論法」や
「国会PV(パブリックビューイング)」でも大注目の著者が
「あっ、そうか!」になるまで徹底的に解く!
「私たちの思考と行動は、無意識のうちに「呪いの言葉」に
縛られている。そのことに気づき、意識的に「呪いの言葉」
の呪縛の外に出よう。
思考の枠組みを縛ろうとする、そのような呪縛の外に出よう。
のびやかに呼吸ができる場所に、たどりつこう。
――それが、本書で伝えたいことだ。」(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
233
国会から家庭まで、呪いの言葉は知らぬうちに自他を傷つけているのだと改めて気づかされた。何気なく使っていた「自己責任」という言葉も、最近では危険物のように思える。本書中、何ともいえぬ辛い気持にさせられるのは育児放棄による事故の例だった。この女性には非もあるが、離婚時に書かされた誓約書を見ると「母」という一語で身動きできなくされている。それをルポした人の「母親を降りることも大切」という提案を、私は受け入れることも否定することもできない。当たり前と思っていた言葉の前で立ち止まらざるを得ない「今」なのだと思った。2021/07/04
どんぐり
104
「国会パブリックビューイング」という団体を結成し、自ら代表となり、街頭上映を中心としながら活動を展開している上西充子さんの本。上西さんを知ったのは、今夏公開の映画『パンケーキを毒見する』で菅総理の国会答弁を分析しコメントしていたのを見てのことである。本書の呪いの言葉は、相手を怯えさせ、萎縮させ、思考と行動を縛るもので、悪意をもって発せられるもの。たとえば、「嫌なら辞めればいい」「恥をかくぞ」などである。→2021/07/12
seacalf
89
『相手の土俵に乗せられず、相手のねらいを俯瞰するかたちで切り返せば、相手の呪いの言葉は無効化できる。』ふむふむ。やり込められてしまう口下手人間なので、多少なりとも参考になった。引用の長さにはびっくりしたが、杉山春さんの著作や『しんきらり』『わたしはダニエル・ブレイク』など気になる作品が紹介されていたし、何よりも国会パブリックビューイングと上西さんの存在を知る事が出来たのが思わぬ収穫。デモについてや、あの日ニュースを見て感じた違和感を上西さん達の活動がクリアにしてくれた。灯火の言葉、湧き水の言葉にも共感。2020/12/22
けんとまん1007
65
日々、周囲に溢れる言葉への違和感と危惧。それは強くなることはあっても、弱まる気配を感じとれないでいた。そこで出会ったこの本の意義は、大きく広がる可能性を感じ取れる。感じていた違和感が、整理できたようだ。以前から、言葉の使い方・論理の在り方には気を配っていた。一つの章が割り当てられた「灯火の言葉」が、とてもいい。少しは、それに近いことを、できているかもしれない。その割合を増やしていきたいし、大きな力になりうるものを感じる。2022/12/10
とよぽん
59
新自由主義、経済最優先、ジェンダー、慣習、人間関係、ネット社会などにおいて、現代は様々な呪いの言葉が氾濫している。息苦しくて生き辛くて・・・と思っている人がたくさんいるのに、自己責任とかで一蹴される。著者は労働問題について研究する大学教授で、悪法が成立しそうになるとデモをしたり、SNSで抗議や批判を発信したり、国会で意見陳述もする、まさに行動する学者だ。物事は数で決まると思ってはいけない。言葉、悪意を持った呪いの言葉で弱肉強食が進む。そんな呪いの言葉に縛られないで生きる方法を示してくれた1冊。2020/06/17




