講談社学術文庫<br> 執権 北条氏と鎌倉幕府

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講談社学術文庫
執権 北条氏と鎌倉幕府

  • 著者名:細川重男【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 講談社(2019/10発売)
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  • ISBN:9784065175736

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内容説明

北条氏はなぜ将軍にならなかったのか。なぜ鎌倉武士たちはあれほどに抗争を繰り返したのか。執権政治、得宗専制を成立せしめた論理と政治構造とは。承久の乱を制し、執権への権力集中を成し遂げた義時と、蒙古侵略による危機の中、得宗による独裁体制を築いた時宗。この二人を軸にして、これまでになく明快に鎌倉幕府の政治史を見通す画期的論考!【本書より】・鎌倉北条氏は、そもそもどのような家であったのか。・「得宗」とは、いったいどういう意味なのか。・これは事実自体がほとんど知られていないが、鎌倉将軍には実は四人目の源氏将軍が存在した。第七代将軍源惟康がその人である。鎌倉幕府が空前の強敵蒙古帝国と対峙したこの時期、なぜ鎌倉幕府は源氏の将軍を戴いていたのであろうか。―これらの問題を追究するためには、どのような方法が有効なのであろうか。まず、鎌倉幕府の通史や北条氏歴代の伝記を書くつもりはない。なぜならば、この本は北条氏という「一族の物語」ではなく、「一族の物語」の底を流れる「基調低音」を書くことが目的だと思うからである。表面的に幕府や北条氏の歴史をなぞっても、我々が求める答には辿り着けないはずである。そこで私は鎌倉北条氏歴代のなかからキー・マンとして二人の「執権」を選んだ。承久の乱で仲恭天皇を廃位し後鳥羽・土御門・順徳の三上皇を配流(流刑)した「究極の朝敵」、第二代執権北条義時と、蒙古帝国の侵略を撃退した「救国の英雄」第八代執権、北条時宗である。世間一般の評価に極端な隔りのあるこの高祖父(ひいひいおじいさん)と玄孫(ひいひいまご)の人生に注目することにより、答に迫りたいと考える。この試みが成功し、見事、解答に至れるかどうかは、わからない。「とりあえず付き合ってやるか?」と思った読者と共に旅に出るとしよう。【本書の内容】はじめに―素朴な疑問 第一章 北条氏という家 二章 江間小四郎義時の軌跡―伝説が意味するもの 第三章 相模太郎時宗の自画像―内戦が意味するもの 第四章 辺境の独裁者―四人目の源氏将軍が意味するもの 第五章 カリスマ去って後 おわりに―胎蔵せしもの

目次

はじめに―素朴な疑問
第一章 北条氏という家
第二章 江間小四郎義時の軌跡―伝説が意味するもの
第三章 相模太郎時宗の自画像―内戦が意味するもの
第四章 辺境の独裁者―四人目の源氏将軍が意味するもの
第五章 カリスマ去って後
おわりに―胎蔵せしもの

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

101
東国武士団が自分たちの政府を作った鎌倉幕府で北条氏が権力を掌握した過程を、将軍にならなかった理由から解明する。組織運営に不慣れな面々が何とか運営しながら内紛の続く幕府を見た後鳥羽上皇が、討幕を図る理由はあったのだ。承久の乱で勝利した北条義時が武内宿禰の再誕という神話的存在になった結果、義時嫡系である北条得宗家に将軍に匹敵する権威を与えたとみる。さらに時宗は元寇をテコに得宗への権力集中を進め独裁者と化したが、幕府にはその権力を維持する理想も力もなかった。組織が未成熟な時代、政治の属人生が政権を左右したのだ。2021/09/10

HANA

70
鎌倉武士の蛮族っぷりが話題の昨今でありますが、本書は鎌倉幕府に置いて「北条氏は何故将軍にならなかったのか」という問いを、義時・時宗二人の業績を中心に答えた一冊。自分の知識だと鎌倉時代については開府から承久の乱、元寇、太平記くらいの知識しか無かったため、読み込むための前提知識が不足していたけど、学術書らしからぬ洒脱な文体と詳しい説明に助けられて面白く読む事が出来た。二月騒動とか竹内宿禰伝説とか面白すぎる。得宗政治というこの時代独特の体制と北条氏の置かれた立ち位置に初心者が踏み込むには必携の良書だと思います。2020/04/23

ちゅんさん

57
著者が言うように鎌倉時代は初めての武家政権にしてはよく150年も続いたと思う。初めてだらけで何のノウハウもない武士たちが試行錯誤しながらも幕府を維持しようという姿はかなりめちゃくちゃなことをしているが人間臭さを感じる。鎌倉時代は歴史を学ぶ分にはかなり魅力的な時代だ、でも絶対この時代には生まれたくない。著者の語り口も程よく砕けていて読みやすかったです。かなりの良書だと思う。2022/03/06

南北

55
「北条氏はなぜ将軍にならなかったのか」という問いに対する答を追求した本である。同じ執権とはいっても北条義時の時代と北条時宗以降の時代では大きく異なると指摘しているのは興味深く感じた。本書の面白さの1つは古文書からの現代語訳だろう。源実朝が意外と怒りっぽいのも驚いたが、実朝の発言の現代語訳が「幕府、ナメてんのか!?」となっているものがあり、実感できる訳になっていることに感心した。鎌倉時代に興味がある人なら読んでおいて損はないと思う。2022/03/22

鐵太郎

26
北条氏はなぜ将軍とならなかったのか、がメインテーマでしょうか。この疑問に対する答えと解説が、鎌倉時代をまるまる描写し、北条高時という傑物と北条時宗という怪物・独裁者の施政と彼らが築いたものの描写により示されます。そして①鎌倉北条氏とはなにか ②「徳宗」の本当の意味はなにか ③鎌倉政権の中で四人目の源氏将軍はなぜ生まれなぜ消されたのか という謎を解明することで、あの時代を見事に描写しています。これは面白い。2021/08/23

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