講談社選書メチエ<br> 哲学者マクルーハン 知の抗争史としてのメディア論

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講談社選書メチエ
哲学者マクルーハン 知の抗争史としてのメディア論

  • 著者名:中澤豊【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 講談社(2019/10発売)
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  • ISBN:9784065175019

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内容説明

「メディアはメッセージ」「グローバル・ヴィレッジ」「空間と時間の消滅」などインパクトの強い言葉で1960年代を席巻したマクルーハン。「文明批評家」「未来学者」「メディア社会学者」「ポップカルチャーの哲学者」「インターネット時代の預言者」「コミュニケーション理論家」など、さまざまな呼称で輪郭づけられたトロント大学英文学者マーシャル・マクルーハンの正体と思想の中身は、本当のところ何だったのか。エリザベス朝文学を出発点とする個人研究史は、メタファーが持つ人間的思考の本質の探究へ、さらに狭いアカデミズム世界を超え出て技術・社会・文化の問題へと射程を広げてゆく。そこで焦点化されてくるのは人間の思考・行為を方向づけている「メディア」の偉力であった。メディアとは単なる媒体ではない。印刷・電信・電話・テレビはもちろん、衣服も住宅も貨幣も、道具も兵器も、あらゆる人工物がメディアであってそれは人間の拡張をもたらすこと、また究極のメディアは言語であってそれは人間を整形し、知のかたちを変形しうることを見通すに到ったのである。古今東西の事象に精通し博覧強記をもって知られたマクルーハン。また「論」を立てること、論理的文章を練り上げることを忌避したマクルーハン。アルファベットの発明がやがて文字・概念重視、視覚優位の西洋思想を築き上げていったことへの警鐘、そのアンチテーゼとしての聴触覚重視「口誦」文化復権への主張。難解と言われる著書と研究の射程を見抜き、計り知れない現代的意味の重さを読み解く。

目次

第1章 マクルーハン旋風とは何だったのか
第2章 文学研究から世界の読み取りへ
第3章 レトリックとは思考方法の問題である
第4章 メディアとは言語であり隠喩(メタファー)である
第5章 カトリシズムとレトリックの知
第6章 知の抗争史としてのメディア論
第7章 口誦の知者=ソフィスト・マクルーハン

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かんがく

10
メディアはメタファーである。マクルーハンによるレトリックとメタファーとアフォリズムの塊なので難解だが面白い。60年代に大ブームを起こしたマクルーハンの思想をソフィストと重ね合わせて再評価した本。活版印刷の登場、テレビの登場の意義については歴史を考えるにあたって必須。2021/08/13

owlsoul

5
マクルーハンにとって「意味」とは、言葉に内在し一方的に運ばれるものではなく、受け手の感受性が生み出す体験である。情報が何を媒介して伝わるかによって受け手の体験は変化するため、媒介によって「意味」も変化する。つまり、メディア(媒介)自体がメッセージとなる。新しいメディアが誕生するたびに「意味」は変化し、それによって人間の価値基準も変化する。活版印刷の誕生が「活字人間」を生み出したように、技術革新によって「道具が人間を作り変える」のだが、我々はそのことに気づかない。新たなメディアは人に何を与え、何を奪うのか。2021/03/27

つまみ食い

4
マクルーハンだけでなく、マクルーハンが影響を受けた/与えたI.A.リチャーズ、イニス、ハヴロックなどのメディア論へのイントロダクションにもなっている。古代ギリシアから近世に至るヨーロッパの知的伝統の中にマクルーハンを位置づける後半の議論はスケールが大きいが、示唆的。2023/02/09

ぽん教授(非実在系)

3
現代思想の源流の一人とされつつも、カトリックに改宗し古典的な修辞学の復活を企てる保守的と思われる行為も行っている謎はどう解けるだろうか。メディアを読み解く文法とメタファー、という観点から専門馬鹿を徹底しておちょくるブリカス的な言説を行った現代のゴルギアス、という著者の解析は今まで読んできたマクルーハン像の中でも一番しっくりくる。2020/02/10

思弁的プリキュア

2
英語圏における修辞学のまとめとしてはとても良くマクルーハン理解につながるものだが、肝心のマクルーハン読解は「日本的なもの」に引きづられすぎている。2023/07/26

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