講談社文芸文庫<br> プレオー8の夜明け 古山高麗雄作品選

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講談社文芸文庫
プレオー8の夜明け 古山高麗雄作品選

  • 著者名:古山高麗雄【著】
  • 価格 ¥1,353(本体¥1,230)
  • 講談社(2019/10発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061982710

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内容説明

「生きていればこんなめにもあう」。理不尽なことも呑み込まなければ「普通の人間」は生きていかれない。22歳で召集、フィリピン、ビルマ、カンボジアなどを転戦、ラオスの俘虜収容所に転属され敗戦となり戦犯容疑で拘留。著者の冷徹な眼が見た人間のありようは、苛烈な体験を核に、清澄なユーモアと哀感で描かれた。芥川賞受賞の表題作ほか「白い田圃」「蟻の自由」「七ヶ宿村」など代表作9篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

大粒まろん

17
淡々と粛々とありありと戦後その罪を問う前代未聞の戦犯裁判までの日々を収容所で過ごす1人の男のほのぼのとした語りは、妻への少しの後悔を携えその場を楽しむ事だけを考えその日までの朝を繰り返す。ほのぼのとさせた(面白く読ませようとする)ことが吉なのか凶なのかは、わからない。収容されてなんの罪で裁かれなければいけないのかわからない恐怖は描き切れるものでは無いのだろうけれど。2023/08/16

かふ

17
表題作の「プレオー8」は捕虜収容所の名前。そこで描かれる捕虜たちの生活と戦争の記憶の断片。錯綜した語り手はジャングルを彷徨っている感じ、実際に行軍の回想も出てくる。大岡昇平『野火』に近い文学だが、ユーモアがあるので面白く読めた。収容所での劇団のこと。作者は楽しませようとする指向性がある。兵隊は男ばかりで情緒ある劇をやるのだ。女形が出てくる歌舞伎みたいな感じ。次第に劇がストリップのような見世物になっていく。ホモになっていく心理みたいなものも、温もりがない軍隊生活で温もりを求める語り手。2021/08/16

カマボコ

13
古山高麗雄さん初読み。伊坂さんの「AX」を読まなかったら出会わなかった作品。客観的かつ独特な筆致で自身の戦争体験が描かれており、軍法会議すれすれの怠惰な落ちこぼれ一等兵(おそらく作者)の姿は等身大で親近感を覚える。一風変わった戦争随筆のような感じ。2018/09/23

hirayama46

5
はじめての古山高麗雄。前半は第二次大戦を材に取った小説、後半は身辺雑記的なエッセイを収録。エッセイも味わいのあるよいものでしたが、やはり短編群における、戦争に対する諦念を抱えていてかつドライなれど、不思議な軽さと品のいいユーモアが印象的。己の経験した戦争をこういう語り方をするのは独特ですね。興味深く読みました。2018/07/28

アメヲトコ

5
インドシナへの従軍と戦犯としての拘留体験、家族や知己との思い出をベースにした小説と随筆集。戦場での現実はきわめて苛烈であったものの、それをことさら悲愴感ある音楽として奏でるのではなく、あくまで淡々と綴っていくところにいっそうの重さを感じます。妻のことを語った「七ヶ宿村」も味わい深い佳品。2016/12/17

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