小学館文庫<br> 夜行

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小学館文庫
夜行

  • 著者名:森見登美彦【著】
  • 価格 ¥671(本体¥610)
  • 小学館(2019/10発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784094067033

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内容説明

怪談×青春×ファンタジー、かつてない物語。

「夜はどこにでも通じているの。世界はつねに夜なのよ」
私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。十年前、鞍馬の火祭りを訪れた私たちの前から、長谷川さんは突然姿を消した。十年ぶりに鞍馬に集まったのは、おそらく皆、もう一度彼女に会いたかったからだ。夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験を語り出す。私たちは全員、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。
怪談×青春×ファンタジー、かつてない物語。

春風の花を散らすと見る夢は
さめても胸の騒ぐなりけり
--西行法師

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

rico

181
10年前の鞍馬の火祭りの夜姿を消した女性。その仲間たちを夜の世界に誘う「夜行」という連作絵画。夜と曙、ネガとポジ。くっきりした光の中より闇に抱かれる方が、人は安らげるのかもしれない。ふいに、高校に通うバスの窓から毎日見ていた風景を思い出した。山の斜面、U字型に開いた空間に連なる道、その先の空。何ということのない田舎道が別の世界への入口に見えた。星空の下、そこに長い髪の女性が立ってはいなかったか。そんな絵をどこかで見なかったか。行けば帰ってこれなくなる?深夜一人で読むには、少し怖い物語。2020/08/05

『よ♪』

178
"尾道""奥飛騨"が舞台と聞き、これを独特な美しい日本語で表現するのだろうと思っていたが、よい意味で裏切られた。読み易い文章と裏腹に、描かれる世界観は一読では理解できないほど難解。この点に重きが置かれた作品。頁を行きつ戻りつ読み解くのが楽しい読書となった。十年前に失踪した長谷川さんの旧友五人。それぞれが「夜行」という銅版画作品に纏わる体験をしていた。そこで語られる非日常感は怪しさを増し、疑問は銅版画作者の住むアトリエに収束する。読後もうっすらと残る違和感。理性で納得できない不合理。二度読みしたくなる作品。2019/12/07

佐々陽太朗(K.Tsubota)

171
まことに怖い小説です。何か得体の知れない世界に潜り込んでいくような感覚が読者を落ち着かない気分にさせます。登場人物それぞれが語る物語、「尾道」「奥飛騨」「津軽」「天竜峡」「鞍馬」がバラバラのようで繋がっているように感じる。まさに夜はどこにでも通じているのだ。そして夜行とパラレルの状態で曙光がある。いや、パラレルの状態というよりは対極として曙光がある。いやいや、そうではなく夜行の末に曙光があるのかも知れない。そう考えるとこの不気味な物語にも救いと希望がある。2019/11/20

SJW

157
10年前、京都の英会話スクールに通っていた6人の仲間は、5年前に鞍馬の火祭で失踪した仲間の1名を忘れられず、また鞍馬の火祭を訪問し再会することになった。鞍馬の宿でそれぞれか経験した不思議に皆は耳を傾けるが、どれも不思議な話ばかりの怪談ファンタジー。このまま不思議なままで終わるのかと思ったら、最後にやっとその理由が分かりとりあえずオチがあってほっとした。表紙の絵には興味を引かれたが、読み終わって表紙の絵を見たら怖く感じる。2020/03/09

エドワード

143
十年前、大学の友人六名で訪れた鞍馬の火祭りで、仲間の女性・長谷川が姿を消した。再び集まった五名が語る、人がいなくなる物語。それはみな、岸田道生という画家の「夜行」という連作銅版画でつながっていた。絵の中に女性に惹かれて、画家は訪れたことのない街の絵を描く。最終章「鞍馬」で世界は反転し、主人公の大橋が姿を消し、長谷川は岸田の妻となっている。連作銅版画は「曙光」に変わる。ドキッと来るのではなく、ゾクッと来る怖さ、構成の秀逸さが光る。「世界は常に夜なのよ。」天竜峡で出会う少女は、尾道の美術館の少女でもあるのだ。2020/06/25

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