講談社文庫<br> IP/NN 阿部和重傑作集

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講談社文庫
IP/NN 阿部和重傑作集

  • 著者名:阿部和重【著】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 講談社(2019/09発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062770408

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内容説明

時代を小気味良く射抜いた峻烈なマスターピース、『インディヴィジュアル・プロジェクション』と『ニッポニアニッポン』。過激で真摯な言葉が吼えるように奏でるストーリーは、今なお新しく、その奇妙で暗示的な読後感は、当代無二のものがある。代表作2編を同時収録した贅沢な一冊。<解説・古泉智浩><収録作品>●『インディヴィジュアル・プロジェクション』最後の一文字に驚愕する、知的スリルに満ちた現代文学の金字塔渋谷で映写技師として働くオヌマは、かつてスパイ養成塾に在籍していた。オヌマの日記から伝えられる、プルトニウム爆弾を巡るヤクザとの攻防や、その撮影フィルムの存在……次第に気味悪く変調する日記は、一体何を明かすのか?●『ニッポニアニッポン』滑稽にすら映る少年の孤独が、テロルの可能性に変わるとき――引きこもりの童貞・鴇谷春生(とうやはるお)は、世間に対する嫌悪と怨念を一身に漲らせた17歳。「俺を一人にしたことを、この国の連中すべてに後悔させてやる……」そう誓った春生はネットを渉猟し、情報で武装。そして、ある復讐計画を企てる。文句なしに面白い! ストーリー至上主義のマンガ家であるオレが言うから間違いない!――古泉智浩氏(漫画家)なにもしないでいられない。けどなにしたいかわかんない。それならこれ読むっきゃない!――やついいちろう氏(エレキコミック)※本書は、2000年6月に新潮文庫より刊行された『インディヴィジュアル・プロジェクション』と2004年7月に新潮文庫より刊行された『ニッポニアニッポン』の合本です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三柴ゆよし

19
再読。初期の代表作「インディヴィジュアル・プロジェクション」と「ニッポニアニッポン」を収録。どちらも授業中の妄想小説、あるいは端的に邪気眼小説と言ってよい。個人的には前者のほうが好みで、分裂症的な妄想に憑かれた語り手が、外部の眼差しを不断に意識することで、そのパラノイアをどんどんアップデートさせていくという、厄介な語りの効果が活きている。また治安が本気で悪かった頃の宮下公園や、2000年代初頭のインターネット事情など、いま読むと懐かしすぎるモノ・コトの氾濫に思わず目頭が熱くなるなど……。2020/11/10

恋愛爆弾

16
18歳の頃に初めて「ニッポニア・ニッポン」を読んだとき、私は鴇谷春生に嫌悪感を抱いた。彼が「悪逆無道」であるに加えて、自分の孤独を歪に貫き、恋心を貫き、瀬川文緒と出会い旅をし、2001年当時はまだ社会に浸透しきっていなかったインターネットの検索機能を使いこなし、最初に掲げた「選択肢」のうち一つを達成する18歳の春生が嫌いだった。春生のように「俺を一人にしたことを、この国の連中すべてに後悔させてやる……」と言えなかった私を私は嫌いだった。今なら言える。この小説を読んでそれを私は言葉にする。私は一人だ。2021/06/29

ちぇけら

15
暴力と孤独のおとが向かうのはきみのもと。恋恋恋。ぼくはきみの親衛隊なんだよきみが高校の先生を好きになんてなるから。きみの下の毛を剃る妄想をノートにしたためたのもピッキングをしてきみの家に入ったのもストーキングをしたのもきみを守るため。童貞なんだ俺はいつまでも、トキは繁殖期だかなんだかしらないがセックスしまくって見せびらかす。トキ殺すしかないよね、スタンガン催涙スプレーナイフを持って佐渡島。孤独なんだどこまでいっても、他の奴らなんて糞くらえだよと叫んだ声を聞くものはどこにもいない。2019/01/30

酔拳

15
インディジュュアルプロジェクションは、元スパイ組織にいた、オヌマの現実と妄想の間でもがく姿を日記形式で、うまく、表現している。  ニッポニアニッポンは、あるオタクな青年がテロを企てる話です。  暴力やテロをテーマにしていて、今の日本の社会問題、日本だけでなく、世界にも通じる問題を提起しているように思えました。  2016/08/07

田氏

12
2作を通して強く感じたのは、描写の何かにつけ絶妙なバランス感だった。現実と虚妄、写実と空想、ともすればどちらかに傾いて転びかねないナイフリッジの上、ギリギリのところを巧妙に攻めている。もはやこれが陳腐な娯楽作品なのか否か、その判断すらあやふやにさせており、明快で、且つ不可解だ。殊にニッポニアニッポンでは、Web由来の情報が未消化のまま過多に盛り込まれ、それが主人公の浅薄さ・未熟さを演出しているのが興味深い。十数年経った今日日に同じ手を使おうものならコタツ記事ならぬコタツ文学とでも揶揄されそうだが、上手い。2017/11/15

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