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内容説明
「みかん、好き?」 突然、女の子が言った。「え?」「私は大好きなのじゃ。食べすぎて、冬になると全身が黄色くなるくらい」 ほら、と袖をまくった。「最初は手のひらや足の裏が黄色くなるけど、そのうち手の甲や足の甲も黄色くなって、さらに食べ続けたら、顔もお腹も黄色くなるのじゃ。といっても、今は春だからだいぶ薄くなったけど。冬はもっと黄色かったのじゃ」 何を言ってるんだろう。拓海はあとずさった。中学生か高校生に見える。でも見かけたことのない顔だ。「そうじゃ」と、女の子が思い出したように手をたたいた。「ここって、西村実さんのみかん園かどうか知ってる?」「え、じいちゃんを知っとるん?」「孫なの?」 女の子がぱっと笑顔になった。「よかった。やっぱりここが西村実さんのみかん園なのじゃ」 そう言うと、斜めにぶら下げたバッグから、定期券入れのようなケースを取り出した。――本文より西村拓海の目の前に突然あらわれた、少し変わった話し方をする女の子・長谷川ひなた。拓海の祖父がつくるみかんに感動して東京からはるばるやってきたという。困惑する拓海をよそに、ひなたと祖父はどんどん仲良くなり、いつのまにやら一緒にみかんを育てることに……。彼女に振り回されながら、みかん作りを通して少しずつ成長していく、甘酸っぱい青春小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みかん🍊
103
みかん好き?大好きです、ひなたの様に冬になるとみかんで手が黄色くなります、瀬戸内海のみかんの島行きたい!あまりにも美味しいみかんだったので東京から島の高校に入り拓海のじいちゃんのみかん園までやって来たひなた、虫が嫌いで寄り付かなかった拓海もじいちゃんに頼まれてつい一緒にみかん園を手伝うはめになる、瀬戸内海を見下ろすみかん園で美味しいみかん食べてみたいと思せられる爽やかな青春小説でした。2019/12/23
fwhd8325
90
この時期、毎日みかんを食べているからと言うわけではないのですが、みかんが大好きなので、この著書を読みました。私は縁があって、無農薬で栽培している農家の方からみかんを買っているのですが、この物語も無農薬、添加物無しのありのままの姿のように感じました。純粋すぎて、ちょっと気恥ずかしくも感じました。2020/02/21
ゆみねこ
79
初読みの作家さん。瀬戸内の島を舞台にした青春もの。みかん、食べたくなりました♪2020/02/08
けんとまん1007
70
みかん、好きです!食べると元気になる。それも、甘いだけでなく、多少、酸っぱさがあるのがいい。そんなみかんを媒体にした、高校生3人のものがたり。それをとりまく人のなかでも、やっぱり、じいちゃんがピカイチ。酸いも甘いもわかったうえで、この3人に接してくれる、まるで仙人のような存在だ。みかんだけなく、食べ物(野菜、果樹、穀類など)は、育てるの手間暇かかるし、時間もかかるし、自然の力には逃れなれない。それでも、育つ。3人も同じように、成長していく。この続きがあったら、読みたいと思う爽快感。2020/03/21
いたろう
69
著者初読み。舞台は、橋で本土とつながった、瀬戸内海の中で割合大きな島で、みかんの産地、ということで、周防大島? 中ニの時に、父親が故郷の島に転職して、島に移ってきた高校生の拓海、拓海の祖父の作ったみかんに感動して、東京から島の高校に入学してきた長谷川ひなた、不良っぽくて拓海と全然タイプが異なる柴、そんな3人が、みかんを通して親しくなっていく。虫が苦手で、自然の多い島を嫌っていた拓海、東京から離れたかったひなた、家族の問題を抱える柴、それぞれの問題。みかん農家のお仕事小説にして、恋愛未満の爽やかな青春小説。2020/01/30