内容説明
山中に隠棲した文豪に会うため、高校の合宿を抜け出した僕と友人の葛城は、落雷による山火事に遭遇。救助を待つうち、館に住むつばさと仲良くなる。だが翌朝、吊り天井で圧死した彼女が発見された。これは事故か、殺人か。葛城は真相を推理しようとするが、住人や他の避難者は脱出を優先するべきだと語り――。タイムリミットは35時間。生存と真実、選ぶべきはどっちだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
784
色々な方のレビューを拝見して気になった一冊。そして何気に初タイガ。どこがどうとは指摘しづらいが、なぜか読みづらくて館の内部状況が頭に入ってこない。詰将棋のような緻密な推理も披露されて光るものがあるかと思いきや、ずいぶんとんでもない偶然が重なって事件がややこしくなったのね…と白けてしまうところもある。財田家と爪に関連性を持たせようと思えば出来たのに、それをしなかったことで散漫になってしまった。”名探偵とは”みたいな厨二発言が溢れすぎていて、逆に名探偵とは思えないというパラドックスも生まれている。2019/10/06
starbro
625
先日の「透明人間は密室に潜む」に続いて、阿津川 辰海, 2作目です。今回は長編、リーダビリティがあって面白いんですが、読者は誰もこの展開を推理出来ないのではないでしょうか? 本作も2019年のミステリランキングの上位にランクインしています。 探偵とは職業でなく、探偵に生まれつくもののようです(笑) https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003240752021/01/21
パトラッシュ
508
本格ミステリを志す者にとって、人界から隔絶した謎の館で起きた殺人事件の謎解きは最高の舞台にして最強の難関だ。著者は25歳にしてクイーンの『シャム双子の謎』の設定を本歌取りして挑んだのみならず、長編数本分の素材をぶち込んだ謎を提示する。その意気や良しだが、年長者にも重い人の欲望や痛みに起因するドラマに対峙するのが高校生探偵というのはさすがにどうか。彼をサポートする元探偵が謎を暴くことの罪深さを教える役割を担うが、このため最後には一応すべての謎が解明されてもカタルシスは皆無だ。面白いが意気込みが空回りしたか。2021/03/17
へくとぱすかる
442
山火事の迫る館で起こる殺人という、クイーンの「シャム双子の謎」と同じ舞台装置。そして大先輩に負けない作品。まちがいなく名作だ。ラストまでの論理が実に鮮やかで、謎解きには感服してしまうが、それ以上のトリックが途中で明かされたときは、「えええーっ!」となってしまった。ミステリでこれほど驚いたのは久しぶりのことで、それだけでも読む価値がある! 作中での「探偵」の役割についての議論は、今まで読んだ作品中でもベスト。後期クイーン問題への取り組みの努力の跡が見えるようだ。それでも探偵は叫ぶしかないのだが、そこが小説。2019/10/19
stobe1904
392
【このミス2020年第6位】山中の館を舞台としたクローズドサークルの本格ミステリ。過去に起きた連続殺人事件と現在の山火事が迫る館で起きた事件が交錯して疑心暗鬼の中、謎解きがなされていく…。圧倒的な山火事の迫力は満点だが、山火事自体の必要性はあまり感じなかったことと繰り返し語られる生き様としての探偵論にはあまり関心を惹かれなかったが、後半に繰り広げられる謎解きは圧巻の一言。必然性を積み重ねた精緻なロジックは納得感が高く、文句なしに『蒼海館の殺人』も読むリスト入りとなった。★★★★☆2022/01/25
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