講談社現代新書<br> 京都異界紀行

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講談社現代新書
京都異界紀行

  • 著者名:西川照子【著】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 講談社(2019/09発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065161463

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内容説明

地霊に導かれ、怨霊の声を頼りに京都の町中を歩く。そこから見えてくる、本物の京都の姿とは? 「中世」をキーワードに、神と仏、聖と穢が繰り広げる怪しい京都の奥深く、地下水脈に潜入する。これまでにない、まったくユニークな京都案内。京都では「生と死」は背中合わせ。と言っても、オドロオドロしい京都の風景は昔むかしのこと、今はきれいに清掃され、ちょっと見には「負」の部分はみえない。ただ、私たちが本物の京都を知りたい、観たい、と思えば、1つ方法がある。地霊である。何もない所であっても、その地に立ってただ風景を見る、そして、そこに住む「怨霊」の声に耳を傾ける――すると、昔むかしの風景・出来事が甦る。怨霊たちは案内人となって、私たちを本物の京都へ誘ってくれる。この『京都異界紀行』の案内人の第1に選んだのは崇徳天皇(1119~1164)の怨霊である。なぜ崇徳か。崇徳は保元の乱(1156)に敗れ讃岐国に配流、帰京の願いならず、配所で憤死した。崇徳の怨霊はしばしば都に現われて、タタリをなした。しかし明治元年、天皇の命により、讃岐の白峯宮より御所の西の地の白峯神宮に迎えられて、ひとまず鎮まった――と、いうことになっていた。いや、崇徳の怨霊は京の町を徘徊していたのだ。それでその後を付いて歩いてゆくと、「見えてきたもの」がある。京の怨霊ネットワークである。崇徳の怨霊が化した魔王・天狗とともに、イナリ・エビス・セイメイ(安倍晴明)等の裏の顔。松尾大明神に空也上人――神と仏が作り出す奇なる世界。この京都の異界が一番よく見える「時代」がある。中世である。歴史も伝承も包みこんで、京の中世は、京都の真の姿を語る。雅と死、花と葬地、怨霊と御霊、惨殺と鎮魂、天皇と乞食(こつじき)――「正」と「負」の京の仕組み。パズルのように「事」と「物」をきれいに合わせて、美しい表面を作り出した京都。しかしまるで死んだはずの木の根が動き始め、大いなる力でコンクリートを割って地表に顔を出すように、京の「負」の影は現代の日常の中にも不意に顔を出す。ここにも、そしてあそこにも……。本書は、怨霊を案内人として京を歩く。(「はじめに」より)

目次

序章 例えば清水寺の花と死
第1章大社の表の顔と摂社・末社が抱える裏の顔
第2章 空也上人と松尾大明神
第3章 神となるための残酷と異形
第4章 ゑびす・イナリ・ハチマンとキツネ
第5章 日吉山王とヒメ神
第6章 大魔王・崇徳天皇の彷徨
第7章 菊渓川が誘う
第8章 開成皇子「胞衣伝承」と光孝天皇「盲人伝承」
第9章 「うつぼ舟」と「流され神」
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

254
今やサッカーの神様として脚光を浴びている京都の白峯神宮。実は崇徳天皇と淳仁天皇という、日本を代表する「怨霊」を祀る神社だった。京都の「表」と「裏」を対比する面白い本。タタリ神=怨霊が、鎮められて守り神になる日本独特の思想が具体例を示され、分かりやすかった。「怨霊たちが案内する」京都紀行本だ。この本を片手に、再びの京都旅行に出たくなった。2021/12/08

HANA

62
京都の闇に関する書物は数多あり自分でもかなりの数は読んでるつもりだが、本書は中でも極北に位置する一冊。京都関連本は大概一つの場所ずつを紹介しているものだが、本書は中で語られている漂泊する貴人、遊行僧のように場所から場所、主題から主題へ変遷するのでうっかり読んでいるとすぐ置き去りにされる。一章だけでも白峰神宮から上賀茂、平野と場所は変遷し、主題も崇徳天皇から親子神へ移り変わる具合。その分内容も濃く、様々なことを教えられるが。裏が表を犯し、その裏も表が無いと存在できないのは、何となく京都っぽく日本っぽいが。2019/10/18

りらこ

23
物事には表と裏がある。京都の寺社の表と裏。祀られている神さまの由縁。でも当然である。信仰の1つの形は畏れから。御霊信仰も、時のまつりごとをする存在からの後ろめたさとともに鎮めたい気持ちが民間に祈りとして伝播していったものだろう。この本は、京の都のさまざまな信仰の表と裏をその信仰対象事に解き明かしていくもの。読みにくいのは、伝承が書かれているところから、著者の意見と推察が混在しすぎていて文を読んでいるうちに、これは?となる部分が多いこと。その意味では裏も表も混合している文体。そこもまた新書の面白さでもあるが2019/10/31

武井 康則

13
崇徳上皇の白峯神社、菅原道真、八幡様、牛頭天王、金毘羅、恵比寿と正統から逸脱した神々はタタリ神であり、それを福をもたらす神に、つまり正統に引き込む物語。長い歴史が言い間違い、転居、戦と様々な出来事の中で祟りの神は他の神と習合し合体し変容していく。時宗、空也についてもよくわかった。京の地名、位置関係がわからないと、読みづらいだろう。2019/10/11

takeapple

10
794年から続く都市京都だからこそ、あちこちに怪しいところがあって、神を祀ってあるのでしょう。人が集まって住めば、色々な問題が起きる。まして政治の中心であればこそ。それを鎮めるには神の力が必要であったと言うことかな。修学旅行で行くような所謂名所旧跡以外にあるここに出てくるような場所を巡るのは楽しそうだ。早速今度京都に行ったら行ってみよう。そういえば森見登美彦さんが書いているような世界ってこう言う話ですよね。2020/08/31

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