内容説明
銀行員・隆盛を頼って、昔のペンフレンドが日本にやって来るという。現われたのはナポレオンの末裔と自称する、馬面の青年だった。臆病で無類のお人好しのガストンは、行く先々で珍事件を巻き起こすが……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
piro
35
『深い河』、『悲しみの歌』に登場したガストンの話という事で興味を持った作品。刊行は『海と毒薬』の翌年、1959年なので比較的初期の作品。軽めのタッチで描かれていますが、遠藤先生にとっての一貫したキリスト観が色濃く表現されている作品だと感じました。ガストンこそイエスの象徴に思え、『深い河』の大津の姿にも重なります。遠藤先生がフランス留学で受けた心の傷とも言える思いが強く現れているのではないかとも思います。上記に挙げた作品と共に読んでいただきたい作品です。2023/12/03
hart
3
'60年代と思われる昭和の日本。銀行員 隆盛君 兄妹の前に ナポレオンの末裔と称するフランス人が姿を現わす。名前はガストン・ボナパルト。見事に馬面の青年は、臆病で無類のお人好し。最初は兄妹を困らせるが、次第にこの青年が素敵な心を持っていることがわかり、一見ただの'おバカさん'だが、はかりしれない能力も垣間見えてくる。そして行く先々で珍事を巻き起こしていく一方で、彼は出会った人々の心を不思議な温かさで満たしていく。『遠藤周作、得意の明朗軽快なタッチながら、内に「キリスト受難」の現代的再現を⇒ 2023/06/04
ひろし
0
面白くてすぐに読めた。「無数の人間が生きるために生きているのだった。」2023/12/04
都市
0
再読。ばかでは無いおバカさんは愛される人である。2023/06/07