カニエ・ウェスト論 《マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー》から読み解く奇才の肖像

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カニエ・ウェスト論 《マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー》から読み解く奇才の肖像

  • ISBN:9784866470900

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内容説明

天才芸術家にして、当代一の憎まれ屋――その素顔とは?
21世紀屈指の名盤《My Beautiful Dark Twisted Fantasy》を大分析。
現代ポピュラーカルチャー界に君臨する神(イーザス)の実像に迫るファン待望の決定版!

《マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー》とは?
さかのぼること2009年、MTVヴィデオ・ミュージック・アワード授賞式でのこと。
人気歌手、テイラー・スウィフトの受賞スピーチに乱入し、大ひんしゅくを買ったカニエ・ウェスト。
当時の米大統領バラク・オバマからも「ばか者」と呼ばれるなど全米から非難を浴び、一時はアーティスト生命が絶たれたかに思われた。
しかしカニエは人知れずハワイのスタジオにこもり、5thアルバム《My Beautiful Dark Twisted Fantasy》を制作・完成させる。

翌10年にリリースされた同作は、ラップファンだけでなくロックやポップスなど幅広い層のリスナーから大絶賛で迎えられる。ロック系メディアの大家、ローリング・ストーン誌やピッチフォークでも年間ベストアルバムの座を射止め、カニエは名実ともにみごと復活を果たしたのだった。


ドナルド・トランプへの支持表明、“奴隷制は選択”発言など、
近年のカニエはゴシップ記事をにぎわすお騒がせセレブとしても知られるが、
その類まれなる才能は同輩ミュージシャン、リスナーともに認めるところ。
本書では《My Beautiful Dark Twisted Fantasy》を題材に、そのナルシシスティックな人物像と彼の生み出す作品を読み解く。

日本語版には本書訳者・池城美菜子による解説(1万2千字)を追加収録。
さらに、これまでの全キャリアを総括した巻末付録「カニエ・ウェスト年表」付き。

目次
第1部 ポップ界のキリスト イーザス7つの美徳
第2部 早熟の巨匠あるいはモンスターの肖像
第3部 現代一のナルシシスト
第4部 不穏な5枚の絵
第5部 贖罪のアート
第6部 大学(ユニバーシティ)という宇宙(ユニバース)――《The College Dropout》
第7部《808s & Heartbreak》についての短い考察

My Beautiful Dark Twisted Fantasy
Dark Fantasy――高みを目指す男の暗いファンタジー
Gorgeous――自信こそセクシーの源
POWER――デジタル時代のオジマンディアス
All of the Lights――前科者もマイケルも光からは逃げられない
Monster――4つ首のラップ・モンスター
So Appalled――トップ40ヒップホップを揶揄したポッセカット
Devil in a New Dress――マジックアワーに包まれた、悪魔との戯れ
Runaway――許しを請う音のバレエ
Hell of a Life――AV女優と結婚してみたら
Blame Game――分裂していく罵り合いゲーム
Lost in the World――作品全体のDNAを内包する祈り
The Yeezus Singularity――「ただ愛されたい」カニエ・ウェスト教のマニフェスト

解説――カニエ・ウォッチャーが見た奇才の素顔
付録――カニエ・ウェスト年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ウィック&ぺディ

25
★★★★☆2020/07/17

しゅん

10
2010年の異形の名盤を批評する。エゴの歪みが、強烈な自己誇示や贖罪、下劣すぎる言葉として現れているというのはなんとなく知っていたが、リリックの解説やサンプリング元を明示することで解像度が変わってくる。アートワークや30分にわたる"Runaway"のMVとの各曲との関連付けも面白い。あと曲の方の”Runaway”の後半の壊れ方を表現する形容の連発がめちゃ面白い。ヒップホップカルチャーの歴史との接合点をほとんど描いていないのも本書の特徴か。2021/01/06

神の味噌汁

3
天才。これは芸術なんだなって思う。個人的には808からMBDTFのカニエは最高でした。サンプルソースの解説やらを絡めてくる読み応えのある本でした。初期のカニエがダンサブルだってことをちょっと思い出した。Jesus walkとか… 改めてカニエは天才。カニエのアルバム解説本となればみんな読んだ方が良いと思う。2020/08/10

ikshm

3
・カニエウエストにまつわる色々な出来事の経緯をある程度ちゃんと理解できた。 ・赤いアルバムの聞こえ方がかなり変わる。 ・おもしろいアウトプットには、おもしろいプロセスが必要なんだ。2020/01/01

Masayuki Shimura

0
【《MBDTF》とは、その果てしない望み、望蜀をオペラ的なサウンドに落とし込んだものなのだ】(文中より引用)・・・・・2010年に発売されるや、あっという間にして傑作としての地位を固めた"My Beutiful Dark Twisted Fantasy"。稀代のアーティストにしてトラブルメイカーであるカニエ・ウェストのこの渾身の作品を、歴史的な文脈も加味しながら解説した作品です。何故にカニエが嫌われ、そしてそれ故に視点から逸らすことができないかがよくわかる一冊でした。 2022/10/20

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