内容説明
いったんは「神」と信者をコケにした棄教者のリーダーが戻ってきた。脇腹に「聖痕」を刻んで……。 いったい教会は再建されうるのか? そして神なしの祈りはありえるのか? 「世紀末の闇の深さ、希求する若い魂の激しさ。それをリアルに、明快に書くことをねがった。ひとり少年時に聞いた『神』の声を追いもとめる若者も、死の前に生きなおすことを企てる初老の男も、自分だと思う」(著者)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ブルーツ・リー
4
オウム真理教の事件を受けての、大江健三郎による、それまでの作品のリライト。 天に登る太陽の鏡写しとなるような、地に潜っていく黒い太陽を描く作品だった。ダンテの神曲の地獄巡りのような10年を経て、そして地上に戻ってきた新興宗教を描く。 「宙返り」は、ひとつの玉音放送ではなかったか。その方向性が地平線の上に向かうか下に向かうかというだけのことであって。 大江健三郎にとって、宗教とは「魂のこと」を行う場所であって、権威とは一体ではあり得ず、人間の実在と共にあれ、という思想を描いた書、として読んだ。2023/08/08
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