内容説明
ランチワゴンは疾走する、危険な中学生アイドルを乗せて。
バツイチ、アラサーの移動デリ経営者・夏都、人生最高で最悪の二週間。
街をワゴンで巡り、料理を売って生計を立てる女性・夏都(なつ)。
バツイチ・アラサーの身で借金を返しながら海外赴任中の姉の息子を預かる生活は楽じゃない。
ある日、緑色の髪をした中学生アイドル・カグヤのファンたちに車ごとさらわれた夏都は、芸能界を揺るがすスキャンダルに巻き込まれることに。
スキャンダルの流出を防ぐため、ある女性の携帯電話に残されたメールを削除せよ。
カグヤと協力してミッションに挑む夏都だったが――。
解説・間室道子
※この電子書籍は2016年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
294
不思議な読み心地でした!移動デリ(ワゴン車のランチ販売)で頑張る主人公夏都。その動機はいささか悲しいが負けず嫌いの夏都は意地と工夫で頑張る。海外に赴任した姉の息子を預かり、まるで親子のように過ごす。やがて芸能人のスキャンダルに巻き込まれ!分かりやすい展開に都度裏切られ翻弄されいつしか頑張り屋の夏都に惚れ応援したくなる。主題が見えないまま終章で予想外の伏線回収!p334の数式が問い掛ける意味!不可逆的な些細な行為が知らぬ間に取り返しのつかない程に!解説で知るタイトルの意味に本作の深い問い掛けが刺さる‼️🙇2019/12/10
イアン
114
★★★★★★☆☆☆☆著者初の女性主人公となる道尾秀介の長編エンタメ。ランチワゴンで生計を立てる夏都は、営業中に人違いで車ごと誘拐されてしまう。連れられた先である秘密を知ってしまった夏都は、甥を巻き込んで誘拐グループと行動を共にすることになるが…。序盤はミッションのスケールが小さく感じられ読み進めるのに苦労したが、終盤にかけての伏線回収は道尾秀介の真骨頂だ。明かされた動機は子供じみたものだが、その未熟さが作品全体にほろ苦い余韻を与えている。最後のページを読み終えた時、少しだけランチワゴンを応援したくなった。2024/05/20
相田うえお
109
★★★☆☆19090 書き出しは、原宏一さんの『佳代のキッチン』みたいな移動デリをメインにした内容なのかと思ったんですが、急に木下半太さんみたいなドタバタ話になってきまして...でも、ラストは予想外の展開で、しかも深く考えさせられる結末でした。当方的には移動デリ話のまま進んで欲しかった気もしますが楽しく読ませて頂きました。当方が今までに読了した道尾秀介さん作品に、こんな作風のものは多分無かった気がするなぁ〜。イメージが随分と違うから、読んでて誰の作品を読んでるのか忘れてしまう不思議な感覚でしたよ。2019/09/28
H!deking
99
いやー、これも面白かった。ドタバタ劇のなかにも心に残る素敵な言葉が散りばめられていますね。読後タイトルの意味を調べて妙に納得。なんだかんだ言ってやっぱり好きな作家です(笑)おすすめ!2019/10/12
佐島楓
75
最初は道尾秀介らしくない作品だなぁと思って読んでいたが、終盤の展開でこれこそ道尾作品だと評価が大逆転した。この感覚は個人的にとても共感できる。2019/10/05