イノベーションの長期メカニズム―逆浸透膜の技術開発史

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イノベーションの長期メカニズム―逆浸透膜の技術開発史

  • ISBN:9784492534113

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内容説明

「産業形成につながる紆余曲折のある長いイノベーションのプロセスを、企業の利潤動機と市場競争の機能だけに還元して説明することは不可能であるように思える。なぜなら、不確実性の高いイノベーション活動へ資源配分を行うことの経済的根拠を、広く人々が納得するように、透明性をもってあらかじめ説明することは難しいと思われるからである。そうであるならば、収益圧力に晒される企業は、将来の収益を計算できないような新技術や新事業の開発活動を、最終的に産業が形成されるまで、どのようにして継続することができるのだろうか。つまり、『高い不確実性の下で新技術や新事業の開発が長期にわたって継続されるのはなぜなのか』。この問いが本書の出発点となる問いである。イノベーションを通じた産業形成を解明するには、この問いに答えなければならない。
 この問いに基づいて本書では逆浸透膜開発の歴史を分析する。逆浸透膜とは様々な原水から真水を造るための半透膜である。その開発は、水不足という明確な社会課題の解決を目的として始まったものである。次節で説明するように、社会課題解決型技術の開発には特に高い不確実性が伴うことが多く、それを長期にわたって継続する過程において企業は、必然的に、様々な困難に直面することになる。それゆえ、社会課題解決型技術の開発に注目することによって、イノベーション活動の前に立ちはだかる数々の困難が克服される過程がより鮮明に描き出されると考えられる。」
――序章より

目次

はしがき
序 章 本書の目的と問い
第1部 概要編
第1章 水処理需要の高まりと逆浸透法
第2章 逆浸透膜の技術概要
第2部 米国史編
第3章 公的機関における研究の始まり
第4章 民間企業による事業化開発
第3部 国内史編
第5章 日本企業の台頭
第6章 東レ:海水淡水化を目指した開発
第7章 東洋紡:酢酸セルロース系中空糸膜での集中展開
第8章 日東電工:収益圧力下での開発
第4部 分析編
第9章 政策的刺激とスピルオーバー:開発着手の日米比較
第10章 初期市場の探索:性能の束の不均衡発展
第11章 技術的ブレイクスルーによる開発焦点化
第12章 企業特有の開発理由
第13章 不確実性下における長期開発メカニズム
終章 本書の貢献と今後の展望
補 論 特許データの整理について
参考文献
取材協力者一覧および謝辞
逆浸透膜の開発・自業展開史(年表)
用語一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち

0
RO膜の知識の役に立つ2022/08/09

ユカイ

0
評価高くなかったけど(付いてなかった)高そうな本を、Unlimited だからというノリで。革新の機構の研究だけど、結構歴史自体も興味深い気がする。ある意味宇宙開発と対をなす様に行われたのは面白い。2021/03/10

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