内容説明
「女流文壇の大御所」といわれた、美しき作家・長谷川時雨。明治末期、歌舞伎界初の女性作家として華々しくデビュー。至福と修羅に揺れた、流行作家・三上於菟吉との生活。昭和初年代、女性のための雑誌「女人芸術」創刊、輝ク会結成、林芙美子・円地文子・佐多稲子ら多くの女性たちを支援、育成した偉大な業績。著者は関係者を訪ね、資料を博渉し、そのドラマティックな生涯を浮彫りにする。新田次郎文学賞受賞作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
35
長谷川時雨にハマり、青空文庫の短文は殆ど読み終えた。本で云うと主に旧聞日本橋と美人伝(これは複数あるようだ)という事になる。旧聞日本橋は若い頃の自伝という面もあり、江戸時代の教育、躾を受けた(上質な町人文化といえる)子供時代と「本を読みたい、勉強したいと希求する少女の思い」が胸に迫った。長じて坪内逍遥に師事して歌舞伎俳優と組んだ、演劇と舞踊の革新運動を試みることになる。後半生は名高い「女人藝術」を発刊。女性運動の大御所として「輝ク」と名付けた社会運動を展開しつつ昭和16年に逝去。続く2017/03/15
hazama
1
文庫版の口絵写真の確認。親本読了済みなので、今回は本文は読んでないっす。2011/08/14
たつや
0
新田次郎文学賞受賞作品。女性が文芸作品を書くのが容易でなかった時代に、女性のための雑誌、女人芸術を主宰し、女性作家の発掘、活躍の場を提供した。明治、大正、昭和と激動の時代に生きた彼女の活躍を通して当時の社会情勢もうかがい知ることができ、興味深い2021/10/29